「サラバ!」の上巻を読み終えた

本屋大賞が好きです。

書店員さんが売りたい本のランキングって、高名な賞より身近に感じますよね。直木賞とか芥川賞より感情移入がしやすい作品が並ぶイメージがあります。ぼくの読解力が低いのも原因かもしれませんが!

そんな直木賞には決まってたものの、本屋大賞の候補かと囁かれてたので読み始めたのが「サラバ!」です。大賞が決定した頃、上巻が読み終わったり。

サラバ! 上

サラバ! 上

 

いや、読みにくかったからじゃなくて、ぼくがただ単に遅読なだけで、なんか妙な魅力があるお話ですね! 

物語は主人公の歩くんの半生を一人称でみていく内容で、上巻は誕生から高校一年までの話です。自己主張が強すぎて人とうまく関われない姉と、母親であることより女であることを優先するお母さんを客観視しながら安全圏を探り生きていく歩くんの姿をずっと追っていきます。お父さんはそんな家族を最優先しながら生きている人。お父さんの仕事の都合でエジプトに家族で引っ越したり日本に帰ったりという歩くんの高校までの記録です。

あまりに淡々と歩くんの日々の人生のイベントが描かれていくので、この後の展開がよくわからないんですよね。「今語られている内容が、後半の物語にどう影響されるのかな?」みたいな。なんかそこに魅力を感じてしまいました。

歩くんの身のまわりの出来事は、かなり平凡な日本の男の子とは違うと思うんですが、その全てを歩くんは全力で「平凡へ修正しよう」と努力してる姿が健気です。

でふと思ったのですが、「平凡」てどこ基準なんでしょうね?歩くんの家族は企業勤めのお父さんと専業主婦のお母さん、子どもふたりの「標準世帯」。この標準世帯って今すごく減ってるらしいですね。なんか、「標準」「普通」「平凡」っていう謎の神話を信じすぎてるのかなー?って改めて思ったりします。世の中のいろんな事柄について。

これやったら「普通」、あれやったら「変」のボーダーってどこなんだろう?

なんかそんなことをぼんやり考えながら読みました。

この「普通」に徹する歩くんの高校2年以降が楽しみです。