しょこたんが好きですか?そうですか。ではこの映画を見ましょう。

以前、荻上チキさんのsession22にゲストで出演された時にすごいテンションで本人がプロモーションしてたので気になってたしょこたん主演の「ヌイグルマーZ」を見ましたよ。

ストーリーは、なにをやってもダメッ子なうえに、暖かな家族ってものを知らないせいで心に闇を抱えながらも、「ゴスロリ」に出会ったことでなんとかアイデンティティを保ってるしょこたんが、ひょんなことから宇宙人が憑依したぬいぐるみと出会い、合体することでヒーローになり、同じような心の闇を抱えた親戚の女の子の閉ざした心を開くって物語です。

 この映画は一言で言えば「豪華キャストを使って学生が文化祭上映作品を作りました」って表現できると思います。そして、それをネタとして消費できる人にとってはとっても楽しい作品だと感じました。

なにせ、敵対する悪のゴスロリ部隊が、胸をぽろんとはだけさせて「はずかしい〜」って言いながらその羞恥の感情を破壊エネルギーに転化して街をチクビームで焼き尽くすとかそんな馬鹿馬鹿しい展開を、すごくチープなCGで見せてくれます。

とにかく「くだらない、バカバカしい」ものに触れて心や頭をリラックスさせたい人にはもってこいです。

「実用的でないもの」「ハイクラスのものでないもの」に触れる時間とお金が無駄だという考え方がありますよね。

庶民の発想かもしれませんが、それだけだとちょっと疲れちゃうなー、って思うんですよね。表現の領域に「ヘタウマ」ってのがありますよね。あの感じが結構好きなんですよ。

ところでこの「ヘタウマ」ってのは、今みたいにハイクオリティな表現作品を簡単に目にすることができる世の中においては、福音でありオアシスであるような気がします。もちろん、「ヘタウマ」もそれはそれでいばらの道ではあると思うのですが、皆が皆超絶技巧を一身に目指さなくても、表現活動の裾野は果てしなく広いということを体現しているのが「ヘタウマ」なんじゃないでしょうか。

ひとと違うことをして評価されるのが芸術、表現活動で、だれにも表現できないような「下手さ」が価値を持つ、この柔軟さってやっぱ表現活動の魅力だな、と改めてしみじみ思いながらこの映画を見ました。


『ヌイグルマーZ』予告編