東日本大震災がおこった直後「絆!絆!!」と世間が連呼しまくってたけど、その後絆はどうなったんだろうなー?と思うくらい去年は他人に対して疑心暗鬼にならないといけないニュースが多かったなー、なんてことをこの小説を読みながら思いました。
宣伝文句で書かれていた程度のネタバレ込みであらすじを書きますと、主人公のお父さんは東西冷戦時代に、国産の原発開発プロジェクトに参加してたって過去をひたすら隠して瀬戸内海で漁師として第二の人生を生きてきたという秘密を持ってる人なのです。
そんなお父さんは東日本大震災をニュースで見て「この秘密を隠したままでいいのか?」と悩むのですが、その直後ガンが発覚。今際の際に、事実を公表するか否かを娘に託すわけなんですね。
そんな秘密を突然託されても、娘の主人公もどうするか悩むわけで、プロジェクトの中枢人物に会いに行って話を聞くことを決意するわけなんですが、なんせ国家機密。日本政府や公安は娘に「父親殺し」の罪を着せて全国指名手配をするのでした。
かくして主人公は、信頼できる知人友人を頼りながら、日本の警察の目を盗みかい潜り、目的を果たすため四国から首都東京を目指すわけなのですがいったいどうなることやら。
というストーリーなのですが、描かれているのは最近すっかり忘れていた「絆」の力のように感じた次第です。
公安というパブリックなパワーに、主人公が今までの人生で築き上げてきた縁で立ち向かう。
ああ、ぼくらは震災以降こういうストーリーが大好きだったな。と。あのとき「絆」と叫んだことをキミ達は忘れたのか!?と問われているように感じた物語でした。
個人的には主人公が20代後半という個人的妙齢で萌えた。
面白かったっす!