オーダーメイドの靴なんて、ぼくの人生では今のところ接点がないものなのですが、この漫画は面白い。
両親の離婚がきっかけでイタリアの伝説の靴職人のおじーちゃんに引きとられた主人公の一条歩くんは、17歳で靴づくりをまかされ、22歳で日本に戻って自分のお店を持っちゃうって話です。
「ああ、手に職つけたい。」
「ああ、オーダーメイドの靴欲しい。」
「ああ、没頭できる好きなことを仕事にして、いろんな人とふれ合いたい。」
そんな妄想を抱かずにはいられないお話です。
なんでこんなに惹かれてしまうのかと自分の心に問うてみると、2つ思い当たるところあるんです。
1つめには、大量生産されたものを買いにショッピングモールへ繰り出す休日に疲れている自分がいること。
2つめには、「自分だけのスキルで人の役に立ちたい」って欲求があるってこと。
んー大なり小なりみなさんお持ちなんではないでしょうかねー。
いや、わかってるんですよ。ショッピングモールってとっても便利です。ただ便利すぎて「せっかく便利なものがあるんだから便利さを謳歌しないといけないんじゃないか」っていう脅迫概念がいつの間にか自分にあるんですね。コレまずいですね。戦わないとね。
「自分だけのスキル」ってのも曖昧なもんで、歩くんだってイタリアではまだまだ駆け出しで先輩靴職人は作中たくさん登場するわけですから、そーいう意味では「自分だけのスキル」ではないですね。「体がゴム」とか「九尾を宿してる」とかそんなレベルにならないと、本当の「自分だけのスキル」とは言えないんだろうなー、と。
つまりは隣の畑が大収穫に見えるって話なんですが、そんな心にすっと入ってザワザワさせてくれる漫画だなー、と感じた次第です。
と、皮肉をたくさん書いてしまったような気がする。
いや、純粋に大好きな漫画なんです。
そこに流れている空気感というか、お客さんとの交流とか、歩くんの靴作りに向ける情熱とか「いいなあー。」って思うんですよね。こんなまっすぐ自分の仕事と向き合いたい。
あ、仕事は頑張ってますよ。はい。