無職=ダメではないなと思わされる「34歳無職さん」

またしても疲れた社会人に染み渡る漫画が…。 

34歳無職さん 1

34歳無職さん 1

 

主人公の本名が不明なのですが、そこがまた「なにものでもない」感が強調されるうまい演出だなー、と感心させられてしまいます。

勤めていた会社が倒産。

すぐに次を探すことをせず、1年間何もしないことを決めたっていう無職さんの日々を淡々と追っていく物語なわけですが、なんというかそこに描かれているのは断捨離とか禅の世界に通じてるように感じます。 修行僧とか仙人みたいな。

ハイテクIT機器に囲まれ、日々大量のタスクに追われて処理し、メディアからの情報に翻弄されながら欲しいのか欲しくないのかよくわからないもののために浪費していく生活に対して、この漫画はガンガンに警鐘を鳴らしてきます。それでいて物語の中に流れる空気はとても透明で無音です。

何もしない無職さんの日々は、たまに自分の内面奥深くまで潜っていきます。自分と世界との距離感を測っているようです。それは普段ぼくらが忙しすぎてできずにいる行動です。

この漫画には、衝撃の展開やドラマチックな冒険は一切出てきません。

でもぼくは思いました。

「週に1日くらいこんな日が欲しいな。」

贅沢ですみません…。