ぼくは月1〜2回美術館に行くのですが「美術館自体の建築も最近は見所ですねー。」と、手放しで喜んでいいの?という投げかけをしてくれる本でした。
美術館自体が建築的に名作になると、収蔵されている作品と「どちらが主役なの?」という問題が発生するってわけです。なるほど。
だから「美術館はあくまで脇役に徹せよ」という警告を発しているわけではなく、美術館が明確に意思を主張するなら、その館内の空間を「使いこなしてやる!」とばかりにアーティストが果敢に挑むことで、新たな化学反応を起きる奇跡も起こり得る、みたいなことが話をややこしくします。
アーティストによって美術館に要望する内容も違うでしょうし、いろんな視点から美術館とアート作品の関係について語られていてとても興味深いです。
個人的には、Apple製品とそのパッケージみたいな関係がいいな、と思います。つまり、すごく豪華なパッケージを開封する体験も込みで製品のブランドになる、みたいな。美術館のデザインも楽しみ、中の作品も楽しむ。一粒で二度美味しい感じ。
ところでこの本、日本の美術館の年表が巻末についているのですが、日本の美術館の歴史って改めて見ると浅いですね!美術館が一般受けしてない現状は、国民の美術リテラシーが低いからではなく、まだまだ美術館が一般社会に浸透してないのもしかたないなーとふと思いました。