分厚いのですが一気に読みました。
嘘です、前半は何度も戻りながら読みました。
物語の主観が目まぐるしく変わる!
「あれ、今だれ目線?」って感じです。初登場のキャラも「さっきからいましたけど?」みたいな体で登場します。混乱します。
でも、この混乱に乗じて、人はマインドコントロールされるのかもしれないな〜。とも思いました。
冒頭は楢崎さんという、ぱっとしない青年の視点で始まります。
彼は、突然行方不明になった「恋人」と言い切っていいかわからない草食なおつきあいをしていた立花涼子さんという女性を追って、松尾さんという謎のじーさんを慕って集まる宗教なのかなんなのかわからないゆるーいコミューンを訪問します。
そこには立花さんはおらず、彼女は「教団X」という謎の宗教団体にいることを知ります。公安にも目をつけられているこの教団、名前がないのでXと呼ばれているらしい。しかしそれしかわからない。
立花さはいったい何者なのか?いい女?悪い女?ズルい女?
教団Xは乱交パーティで人々を洗脳します。
教団Xの教祖と松尾さんは旧知の仲らしい。このふたつの団体のつながりは?そして楢崎くんは立花さんを取り戻せるのか??
もうほんとね、びっくりするくらい乱交パーティが続くんですね。
食事とかしながら読めないくらい生々しい。
でも、その理由というか、なんでそこまで執拗に描かれないといけないか、ってのがラストあたりにズバッと描かれていたように感じました。
松尾さんのコミューンは、なんだかFacebookのグループを連想させられました。
同じものに共感したゆるーいつながりと、乱交パーティでがっちり心をわしづかみにするする一体感のコントラスト。
映画のダヴィンチコードや、アイズワイドシャットでも乱交パーティは出てきますよね。
いや、知識としてはわかってるつもりなんです。
いろんな宗教でまぐわいは「不完全な個人が互いを補って完全体(神と同等)になる」行為ってやつ。
だから、どこの宗教も両性具有が多いんですよね。
でも「なんでそんな必要があるのかな?広めるためのエロ要素?」みたいな疑問があったんですね。
しかしこの作品は「なんで宗教と乱交パーティが結びつくのか」に対してすごく納得させられたような気がしました。
気の合う仲間で集まってたら「宗教」扱いされた団体、暴力を正義と勘違いしちゃう国家、でもぼくらはこじられてるだけじゃいけない、ちゃんと前向きに生きていかないといけない、そうやって励まされた気がしました。