いやー困りました。
いや全然困らないんですけどね。
あ、でもあえて困ったといえば「他にやることあるんだけどなー」と思いながらページをめくる手が止まらなかったってのがありました。
1に引き続きの異世界アークノアにきちゃったアールくんの2つ目の冒険です。
それにしてもこの表紙「クラスにいても目立たなさそう」というポジションの主人公であるアールくんをめちゃくちゃ上手く表現してるなー。と感心、いやもはや感動しました。
1もブログで紹介したのですが、1の話をベースにしながらめちゃくちゃ面白い話になってました。1単品も面白かったですが、確実に1の話をベースにしてより話を膨らませてる感がすごいです。
あらすじ紹介程度のネタバレがありますのでお気をつけください。
前回のブログでも書きましたが、この物語は「アークノア」という本の中の世界に迷い込んだ少年少女の物語なんですね。 アークノアの住人には時間の概念がなくて、成長がないし死もない。
死んでも翌日には霧の中から帰ってくる設定です。
唯一人が死ぬのは殺人を犯したとき。
だから争いがなく皆平和に暮らしているって設定です。
アークノアにとっての唯一の変化は、異世界から子供が迷い込んできたとき。
迷い込んだ子どもの負の感情が具現化した怪物が誕生してアークノアに危害を加えるんです。
怪物のせいでアークノアは変化が生じて被害を受けるし、迷い込んだ子どもは怪物を殺さないとアークノアから脱出できない。そういうルールの物語です。
この巻に登場する迷い込んだ子どもは二人。
前回脱出できなかったアールくんと、新たに迷い込むことになったマリナちゃん。
マリナは歯並びが悪いせいでクラスでものすごいイジメを受けている女の子です。
いじめっ子たちに向けてた負の感情が具現化して誕生した怪物の姿は、どんな武器でも貫通しない強靭な皮膚を持ち、どんなものでも焼き尽くす炎を吐くドラゴンです。おお、ファンタジー。
しかしこのドラゴン。どう猛かと思えば、賢くしつけられた犬のようにマリナに忠実なんですね。
そしてマリナも「どうせ元の世界に帰ってもいいことない」と考えてる。
結果「二人(?)で誰も迷惑にならないところで慎ましく暮らしますので探さないでください。」と逃避行してしまいます。
しかし生かしたままにしておくとアークノアにとってどんな影響があるかわからないから、直接被害がなかろうが殺さなければならないのが怪物です。
そしてそんなやりとりを見ている影の薄い主人公のアールくん。
彼が産み出した怪物は知性を持って産まれた通称「蛇」くんです。
1巻では狡猾な敵として描かれてますが、好奇心から次第に人について勉強をし、「どうしてぼくは怪物として生まれてきたんだろう」と哲学的な思いにふけったり、世界の全てが敵であることに孤独を感じたりするに至ります。そういえば1巻でも人を殺すのは「ほかに方法を知らなかった」り「生き延びるため」だったりしたなと思い出されます。そして、生き物的本能でどうしようもなく生みの親であるアールくんの愛情を欲するさびしんぼうとして2巻では描かれます。
アールくんもアールくんでそんな蛇くんとどう向き合えばいいのかわからなくなっていく始末。分かり合えそう、でも蛇殺さないと自分は帰れない。
そんな中手(と翼)をとって二人で生きていくことを決め、アークノアの住人と戦うことを決めたマリナとドラゴン。マリナとドラゴンの行動は、アールと蛇のそれぞれの目にどのように映るのか!?
どうですかこの展開。いやでもドラマチックになるしかない設定じゃないですか。
久々に、かなりハラハラドキドキな展開に心踊らされました。
そして迎える衝撃の結末と3巻への引きです。ああキニナル。ああきになる。