いやー、ここのところ「仕事」→「ガラパゴスの下巻のループでした。
すごい展開でした。
この表紙の帯についてるセリフ、「貧乏の鎖は、俺で最後にしろ。」って壮絶ですよね。作中の、核心部分で登場するセリフなんですよ。このセリフが出てくるところまで読み進める頃には、もう物語にどっぷりです。
事件の全容が明らかになる下巻。あらすじは避けますが、あらすじを匂わすことを書いてしまったらゴメンなさい、と断って語ります。(と言いつつ記事書き終わったあと読み返すとやっぱりあらすじを匂わせてるので、ネタバレNGな方は以後飛ばしてください。)
殺人事件が起きるわけですから当然犯人がいるわけですよね。そして計画のあらすじを描いた人間やら実行した人間やらいるわけですが、みんな「根っからの悪者」とは思えない生い立ちで描かれてるように感じられました。
みんな、自分が人として生きていくために必死で、そのためにあるものは知恵を巡らせ、あるものは駆けずり回って、そんないろんな人たちの思惑が絡みに絡んで何かの拍子に起きた殺人事件、って風に読み取れるんです。
ぼくもいい歳なので、職場では先輩がいて後輩がいます。いろんな人を率いてチームで動くこともありますし、外部との接渉もあります。こういったときによくあるのが、自分が良かれと思って動いたことで思わぬ人の怒りを買うってことです。「こうすればみんなハッピーだろう」とイメージして動いた結果、自分が勘定した「みんな」の輪のまだ外で「ハッピーじゃない!」と感じる人が出てくるって感じです。
悪気がなかった分、本当に悲しい気持ちにりますよね。自分の至らなさにも凹みます。
けっこうツライので、できれば大人数が絡む案件には関わり合いになりたくないのが本音なのですが、そうも言ってられないのが現代社会です。どこかで誰かに嫌われようが、自分と家族が食ってくために腹くくって頑張るしかない。
物語を追っていくうちに、「誰かをハッピーじゃないと思わせてしまう」ことと、「誰かを殺してしまう」ことには相当な距離があるにしても、別方向じゃない気がしてしまいました。
一個人が関わる社会でこの有様なのですから、大企業同士とか、国家同士とかになったらもうそりゃ収拾つかないだろうことは簡単に想像できちゃいます。そう考えたら世の中もうどうにもならなさそうなことだらけな気がして、いっそ北海道でカフェでもやろうかなんて映画の影響で思っちゃったりするわけです。
それでも人生投げ出さずに、この物語の主人公の田川警部のように一歩一歩地道にコツコツ自分に与えられた道を生きていくしかないんだろうな。田川さんかっこいいな。
て思った今日この頃です。
そして、自分にはお絵描きという現実逃避があってよかったと心から思います。芸術って大事。