こんにちは、りとです。
年末年始の楽しいこの時期に、何故かかぼくはものすごく怖い小説を読んでしまいました。どれくらい怖いかっていうと、このブログで紹介する本の中で過去最高に怖かったってくらいの本です(ホラーをそんなに読んでないことは内緒です)。
じわじわと外堀を埋められていく恐怖「ぼぎわんが、来る」
いつものように冒頭のあらすじを書きます。
最初のストーリーテラーである田原秀樹さんは冒頭から「何か」に追いつめられて絶体絶命です。そして、どうしてこんなことになったのかを思い返す回想シーンからはじまります…。
秀樹さんが小学校6年生の夏休み。
ある日、秀樹少年は祖父母宅で認知症を患ったじーちゃんの横で漫画を読み耽りながら留守番をしていました。
「ごめんください。」
誰かがやって来ました。
「シズさんはいらっしゃいますか?」
女の人の声です。
呼ばれたのはばーちゃんの名前です。しかしばーちゃんは近所の寄り合いに出かけていて不在でした。
「今いません。」
秀樹少年が応えると、
「ヒサノリさんはいらっしゃいますか?」
今度は昔死んだと聞かされた親戚のおじさんの名前を呼びます
「いません。」
すると…
「ギンジさん、ギンジさん、ギンジさんはいますか?」
今度はじーちゃんの名前です。
これは怪しい人なんじゃないか?と思い始めたころ、扉の向こうの相手がこう発したのです
「ち…ちがつり…」
「ちがつり、ちがつり、ギンジさん、ちがつり…」
混乱する秀樹少年。
「帰れ!!」
突然じーちゃんが叫びました。
と、同時に扉の向こうの気配は消えました。
その後、普段会話もままならないじーちゃんが、はっきりした口調で語りかけてきます。
「あれを中に入れてはいけない。本当は返事もしてはいけない。」
数年後、じーちゃんの葬儀で、この地域に昔から伝わるおとぎ話を大人たちから聞きます。返事をした相手を山に連れて行く妖怪「ぼぎわん」について…。
その後数年経ち、大人になり就職し、結婚して、妻が出産を控えたある日、会社で同僚が奇妙なことを言います。
お前を訪ねて知らない女性が受け付けにきた。その女性は「ちささんは、いますか?」と言ってたが、ちささんて誰だ?
「ちさ」とは誰にも言っていない、産まれてくる娘につけようとしていた名前でした。
訪ねてきた女性について詳しく聞こうとした矢先、同僚は腕から血を流し意識を失います。
そのまま同僚は入院。面会謝絶となってしまいました…。
知紗ちゃんが2歳になったある日、事件が起きます。
「念のため」と日頃から家のあちこちに買ってきて置いていたお守りが、一斉にズタズタに引き裂かれてしまったのです。
と、ここまでが冒頭の冒頭なのです。
物語は「秀樹さん」「秀樹さんの奥さん」「秀樹さんが頼るオカルト専門家」の3人がそれぞれ主役となる三部構成になっています。
この奇妙な出来事を、まず主観、次に隣視点、最後に第三者視点ってしていくのですが、いつまでも「ぼぎわん」が見えてこないんです。
この「わからなさ」がめちゃくちゃ不気味なんです。
「リング」の映画の怖さって、「貞子が何者なのか」「呪いの原理が何なのか」わからないうちが最高に怖いじゃないですか?「らせん」になるとその辺がちょっと見えてくるので、ちょっと怖さが半減するっていうか、そういうの共感してくださるかた多いんじゃないでしょうか?
このお話、視点が変わっていくことによって「ぼぎわん」がなぜ秀樹さんを追いつめていくのか、それはわかるんです。
でも、「ぼぎわん」の「正体」がずっと見えないんです。
なので、どの方角から襲ってくるのかがずっとわからない。
なのに、目の前でお守り袋がちぎれたり、携帯に「ヒデキ ドコダ」てメールが来たり…
それが本当に怖い。
こんなに鳥肌立てながら本を読んだことないですよ!?
おかげでいい歳して夜中にトイレいくのが怖くなっちゃったよ!!(ちゃんと行きましたよ?大人ですもん)
というわけで、極上のホラーエンターテイメントです!
こちらで試し読みができますので、ちらっと覗いて行きませんか?