【読書感想】『烏に単は似合わない』をファンタジー好きにもそうでない人にもススメしたい!!

こんにちは、りとです。

今日は阿部智里さんの『烏に単は似合わない』が凄く面白かった!って話をします。

ぼくの感じた面白さを伝えるために中盤のちょっとした事件について核心に触れない程度ですが書きます。もう読むつもりでいる方は閲覧注意です。

烏に単は似合わない? 八咫烏シリーズ 1 (文春文庫)

烏に単は似合わない 八咫烏シリーズ 1 (文春文庫)

 

第一印象は「和風ファンタジー」。舞台設定が個人的に好みでした。

「八咫烏」が支配している「山内」という世界が舞台なんですね。ちなみに隣の国は天狗の国です。

八咫烏って神の使いと言われてる、足が三本の神聖なカラスですよね。

んで「山内」を支配するのが「宗家」、「宗家」の長が「金烏」。

「宗家」の下には東西南北を司る4つの有力貴族がいて、彼らは「宮烏」と呼ばれ、人型で生活を送っています。

対して町に住むちょっと裕福な庶民は「里烏」、山間部に住む農民は「山烏」と呼ばれ、必要に応じて烏になったり人型になったりするのですが、いよいよ食うに困った者は「馬」と呼ばれ、ずっと烏の姿で荷車や馬車を引いたりする仕事で糧を得てるって設定です。

物語は、次期「金烏」である「若宮」が妃を娶ることになり、それぞれ東西南北の四家から妃候補の姫を「登殿(とうでん)」させよ、と命がくだるところから始まります。

妃候補の4人の姫は「桜花宮(おうかぐう)」という宗家内にある男子禁制の大奥みたいなところにあるそれぞれ春夏秋冬を表した宮殿に住み、そこで若宮に選ばれた姫が妃になります。

自分のところの姫が妃になれば、大きく権力を持つことになるので4家は気合いを入れて姫を送り出します。

そんな中、東家では当主の長女「双葉」が体調を崩し、「ニノ姫」が急遽登殿することになりました。

4人の姫

以下、初登場時のぼくの第一印象をイラストに乗せて勝手に描きます。公式のイラストもあるので比較してみてくださいね!

 

東家 春殿の姫「あせび」

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 登殿時名前がなかったので、現金烏妃に「あせび」と名付けられるが、これが貴族間での侮蔑用語なのに喜ぶくらいの世間知らず、天然、健気、素直、メインヒロイン。

 

南家 夏殿の姫「浜木綿(はまゆう)」

 

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ハキハキした口調の気っ風のいい男前、風流、すらっとしたモデル体型。

 

西家 秋殿の姫「真赭の薄(ますほのすすき)」

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 豪華絢爛。セクシー。美女。高飛車。

 

北家 冬殿の姫「白珠(しらたま)」

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知的、クールビューティー、ちょっと何考えてるかわからない。

 

さあ!みなさんどの姫が好みですか!?

物凄いどんでん返し

うまいですよね、この4人の姫の設定。王道を押さえてる!っていうか。

そして、姫たちが火花を散らして衝突したり切磋琢磨したり友情を芽吹かせたり、大奥っぽいから陰謀めいた勢力争いが浮いたり沈んだりしながらも、あせびがまっすぐひたむきな努力で妃の座を射止めるサクセスストーリー、って思うじゃないですか。

違いました。

中盤、ある人物の死をきっかけに、一気に物語の方向が変わるんです。

そして読み終わると4人の姫の印象がはじめと全く違うものになります

この「してやられた感」がぼくは本当に心地よかったです。

「ああ、だから松本清張賞か!」と納得のストーリーでした。

ぼくはこの本を読みながら、伊集院光さんがテレビでむかし「キャンディ・キャンディを子供の頃みたときは、イライザが嫌いで仕方なかったけど、大人になって見直すと、好きな男の子に振り向いてもらうために日々努力してたのに突然やってきたそばかすなんて気にしない娘に奪われそうになったらそりゃ意地悪したくなる。」と話してたことを思い出しました。

おっと、これ以上語るのはやめます。

興味持ってくださったらぜひ手に取ってみてくださいね!