【読書感想】大泉洋さん「主演小説」の『騙し絵の牙』

こんにちは、りとです。

相変わらず一生懸命毎日働いていますが、それでも本はいつもカバンの中に入れていて少しずつ読んでおります。

そんなぼくが最近感動した小説が、今日話題にさせていただきます塩田武士さん著の『騙し絵の牙』です!

今回もあらすじ紹介程度のネタバレがありますのでお気をつけくださいね!

【無料お試し版】『騙し絵の牙』&雑誌ダ・ヴィンチ<『騙し絵の牙』刊行記念特集>記事付

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 大泉洋さん主演

表紙のバーンと大泉洋さんが登場してるんですが、このお話の主人公は大泉洋さんがモチーフになっています。というか「映像化した時に大泉洋さんが主演できるように」というコンセプトのもと書かれた作品なんだそうです。面白い試みですよね!

では、どんな主人公なのかというと、速水さんという、大手出版社で雑誌「トリニティ」の編集長を務める人物です。

速水さんは、おしゃれでかっこよく、ウィットに富んだトークと柔らかい物腰を武器にたくさんの人に愛される「パーフェクト超人」みたいな大人の男です。

しかし、昨今の雑誌不況の煽りを受け、上司から雑誌廃刊をほのめかすことを告げられます。

「いい雑誌を読者に届けたい」「いい作家を育てたい」という夢がある速水さんは、自分の雑誌を守るために奔走します。

しかし、そんな速水さんをよそに、先細っている出版業会の事情や、大きな会社の政治的ないざこざが複雑に絡み合って速水さんをどんどん追い込んでいきます。

速水さんは、自分の雑誌を守ることができるのでしょうか!?

…というお話です。

本や雑誌に対する愛がすごい

速水さんは雑誌の中でも特に文芸が好きな人です。

ぼくも小説が大好きで、普段からたくさん楽しませてもらっているのですが、きっとぼくが楽しんでいる裏には、速水さんみたいな出版や編集の業界で奔走してくださってる方がいるのだろうなぁ…としみじみ思いました。

そう思うと、たくさん本を買って貢献を…とも思うのですが、本は貯めると結構場所をとりますよね…。また我が家のエンゲル係数のことを考えると、結構図書館で借りて読んでる本も多かったりして…。

楽しみながらも、申し訳ない気分になったりしました。

「先に映像化されることを見越して、その時主演してもらう方をモチーフに主人公を設定する」ということ自体が「新しい取り組みをしてます!」感満載ですよね。(本当は、作家さんって「〇〇さんのイメージでこのキャラつくってます」って多いみたいですけど!)

一方で、若手作家が知名度を広めていくための場としての図書館の意味合いなんかもしっかり書かれていて、ちょうど漫画村騒動が賑わってますが、本が売れない時代のいろんな事情がすごく丁寧に描かれてます。

そういったところもこの本の魅力だなーって思いました。

速水さんのトークがすごい

速水さんは、いわゆる「切れ物」です。しかしその「能ある鷹」要素は本当に上手に隠している人で、読んでいてかなり「理想の大人」像です。

会話の切り返しとか、かなり軽快で「ああ、ぼくも普段仕事でこんなこと言えたらなぁ…」って思いました。やっぱたくさん本を読む人って知識や言葉が豊富なんだろうな、って改めて「よししっかり本読もう」と思わせてもらいました。

また、そんなパーフェクトに見せて実は…みたいな部分も速水さんにはあって、そこが妙に人間臭くて、そういったところもぜひ読んでいただきたいなー、なんて思うお話でした!

 

ところで、著者の塩田武士さんはグリコ森永事件をモチーフにした『罪の声』て小説も書かれてますが、こちらも本当に面白い作品で、以前ぼくも熱く語ってます。よかったらこちらもご覧ください。

rito.gameha.com

前回の答え

前回の記事の最後になぞなぞ出したのですが、答えは「外側」ということでとろろ (id:tonarino_tororo_desu)さん大正解でした!!

よければみなさん、会話が盛り上がらない人と2人っきりになった時なんかに使ってみてください!

お付き合いありがとうございましたー