今年は本当に本の引きが強い!
そんなことを感じているぼくです。どうも!
今日は朱川湊人さん著の小説『主夫のトモロー』を読み終えた感想を書こうと思いますが、もうなんと言うか、表紙のイラストが秀逸ですよねこれ!?
この表紙が全てのあらすじを語ってくれてる物語でした。
補足するなら「家事育児することになった男に対する社会の目と、その目に明るく元気に立ち向かう日常を描いた物語」です。
トモローくんが友達になって欲しいくらいイイ男なので、終始明るく読めるのですが、取り扱ってる内容はヘビーな社会派小説でした。
いつものごとく、あらすじ紹介程度のネタバレがありますのでお気をつけください!
会社倒産、じゃあ主夫になればいいじゃない!
主人公の「斉藤知朗」(通称トモロー)くんは「いつか小説家になりたい」と思いながら小さな出版社で働く20代の若者でした。
突如「来月会社が倒産することになった」と告げられます。
呆然となる社員一同、その中でトモローくんは「彼女になんて説明しよう…」と心配します。
「無職の彼氏なんて嫌だろうなぁ」なんて思いながら、恋人の「美智子」(通称みっちゃん)に電話をかけるトモローくんでしたが、意外な言葉が帰ってきます。
「私と結婚して主夫すればいいじゃない!」
みっちゃんはデザイン会社に勤めていますが、ゆくゆくは「インテリアデザイナーとして独立したい」と考えていました。
しかし同時に「いつかは結婚し子どもも欲しい」とも考えていたんです。
ふたつの夢を同時に叶えるためには、結婚しても「家庭に入れ」なんて言う男は論外。
なのでトモくんが主夫して家庭に入ってくれるならこんなにありがたいことはない。
何なら主夫しながら執筆活動すれば2人ともそれぞれの夢を追えるじゃない!
と言うのです。
みっちゃんの両親も「娘に自由に夢を追ってもらいたいが結婚もして欲しい」と思っていたので大賛成。
トントン拍子に2人は結婚し、トモローくんは主夫として家事と夢を叶えるための執筆活動の生活をスタートさせます。
トモくんとみっちゃんの「二人三脚おしどり夫婦」感がすごく良い
みっちゃんは、自分から結婚の話を持ち出したくせにトモローくんにちゃんとプロポーズするようねだります。
このプロポーズから結婚の下りで「この話は絶対ハッピーエンドだ!」て思わせてくれるんですよね。
映画『紅の豚』の冒頭で、誘拐された女の子が「おじさんたち悪い人なの?」って聞いて誘拐犯が「そうだよ」って言うシーンがあるじゃないですか。
あれ見ると「ああこの映画はバッドエンドにはならないな」って思えますよね。
現代日本で主夫するトモローくんの周囲からの風当たりが悪いことは疑う余地がなく「きっとこれからトモローくんのことを悪く言う人たちが次々出てきてトモローくんが苦労する話になるんだろうな」って思うのですが(事実そうなるのですが)、冒頭の2人のエピソードが良すぎて安心して読めるんですよ。
2人は、結婚して程なく女の子を授かります。
そこからがこの物語の本題で「男は外で働き女は家庭を守る」と言う世間の「常識」がトモローくんに本格的に牙を剥きます。
そんな中で奮闘するトモローくんは、多種多様な「家族はこうあるべき」という「常識」に悩まされているパパさんママさんたちとの出会い、葛藤し、笑ったり吠えたりするのです。
「子供のために夢を諦めた、なんて子供にとったら良い迷惑」
これはぼくに激しく刺さったフレーズでした。
ぼくは「親が笑顔で日々を暮らしてないと子どもは大人になるのを楽しみでなくなってしまう」と思ってます。
思ってますが、日々やらなければならないことは山積みで気がついたら頭の片隅に追いやってしまいそうになってしまいます。
それじゃダメだと思ってまた頑張ります。
それが「子どものため」って思ってたのですが、子どもからしたら「自分のために親がら色々我慢してるなんて、自分はいない方がいいんじゃないか?」と思ってしまいかねないわけですよね。
そんなことにはたと気づかせてもらったりしました。
トモローくんは「常識」に心を折られそうになったりもします。
みっちゃんは「自分の夢も叶えたい、トモくんの夢も叶えて欲しい。子どもの成長も一喜一憂したい。私たちは私たちのやり方で人生のいいところを総取りしよう!」と言って励まします。
周りになんと言われようと自分達が選んだ幸せを追い求める2人。
素敵な夫婦だなぁ。
ウチも負けない夫婦にならないとなぁ!
って思いました。
オススメの本です!