今年は年始に珍しく具体的な「今年の目標」をひとつ掲げたんですよ。
それが「積読してる『サピエンス全史 上』を読み終える」でした。
発売当初めちゃくちゃ話題になってたんですよね。
で、ミーハーなぼくは飛びついてみたんですが、難解というか読んでて眠くなるというか、まあ積んでたんですよ。
しかしぼくはやり遂げましたよ!
上をついに読み終えました。
読み終えて振り返ると、示唆に富む論点がいくつもあり、視野が広がったように思えました。
タイトルの通りの内容の本でして、人類を「〜サピエンス」と呼ぶようになって以降の歴史を満遍なく俯瞰して見ていく内容です。
学校で習う歴史の授業って、文明が発達して以降じゃないですか。
しかし、いわゆる「古代史」と呼ばれる期間の方が人類の歴史からみると長いわけです。
なのに、戦後部分の歴史がどんどん更新されてるからこの部分は日々圧縮され続けてるわけなんですね。
そんな学校で習う「歴史」を一度改めて俯瞰して見直してみるのにちょうどいいと思いました。
というわけで、特に印象に残った話をいくつか以下にさらっと触れていこうと思います。
人類が他の種を滅してるのは最近に始まったことじゃない
人類って他のいろんな種を滅し地球環境を壊してってるイメージってあるじゃないですか。
これって、なんとなく産業革命以降のような気がしていましたが、なんのことはない1万年以上前から人類は大陸を移動するたびその大陸の動物を滅してってたみたいなんです。
これは人類が罪深いからっていうよりは、弱肉強食の一環のようにも思えました。
(とはいえ産業革命以降は回転が速すぎにも思えますけど)
古代人は短命ではなかった
農耕を覚える前の、狩猟民族だった頃の人類は長生きだったそうです。
家を持たず、場所を変えながら手に入るものを何でも食べていた結果、栄養のバランスが取れた食事ができてたのだそうです。
「人生50年」とかになったのは稲作を覚え、家を持って定住し、その地で取れる農作物のみを口にするようになった結果栄養バランスが偏り出してからなのだそうです。
それまでは、死にやすい幼少期をすぎると、割と長生きだったそうです。
小麦が人類を家畜化した
それでも農耕が広まったのは「これ植えれば、もう食べ物が手に入らないかもしれないという不安から解放されるに違いない」と人類が思い込んだからなのだそうです。
しかしその結果、小麦が丈夫に育つよう常に心血を注ぎ、災害や害虫から24時間365日体制で世話をし、飢饉の年に備え、と人類にとってストレスになることが逆に増えてったのだそうです。
鳥瞰的な視点で見れば、まるで小麦が元気に育つように人類が奴隷のようにあくせく働く構図になってるというわけです。
それでも人類は、小麦を育てるために新たに生まれた不安やストレスを解消するためにさらに制度を増やし、どんどん複雑化させ、新たな不安やストレスを作り出してるみたいです。
これ読んで「現代人はITに家畜化されてる気がするな」と思ってしまいました。
生存戦略の勝者は個体数?
それでも人類が小麦のために心血を注いできたのは、子を増やすのに都合がよかったからなのだそうです。
女性は妊娠出産する期間どうしても動けなくなります。
これが、移動しながら生活する狩猟文化より、定住が前提の農耕文化と相性がいいわけです。
その結果、人類個々の寿命は縮み、不安やストレスは雪だるま式に増えつつも、人類の「総数」は爆発的に増えてったのだそうです。
ここで著者は、その種の地球上での総量が、生存戦略の勝者なのか?と問いかけてきます。
地球上を覆うくらい増えて地球を支配している人類ですが、同じくらい増えた生き物がいて、それは牛と豚と鶏なのだそうです。
理由は御察しの通りで、人類が食べるためなんですね。
生存戦略の勝者が個体数で決まるのなら、彼らは間違いなく勝者なのですが、果たして本当に幸せなのか?
これはめっちゃ考えさせられました。
歴史は本来面白い!しかし…
まだまだ気になる論点がたくさん!…なのですが、全てをここに書くのは疲れましたし、何より気になったらぜひ読んでいただきたいです。
ぼくはこの本を読んで「ああ歴史って面白いな」って改めて思いました。
高校時代の歴史の授業は最高に眠かったです。
なんとなく、上部の年号と単語だけをひたすら覚えさせられてたような印象です。
でも、本当は歴史って面白いんだなぁ…
ただ
それでも、今このサピエンス全史を読んで面白いと思えるのは、高校時代の広く浅い歴史の年表が頭にあるからなのかもしれません。
そう考えたら、学校の歴史の先生のジレンマも相当なのでしょうね。
深く突っ込めばめっちゃ面白いけど、そんなことしてたら3年間じゃ終わらないよ!
みたいな。
そんなことを考えながら読みました。