カレーって美味しいじゃないですか。
ハンバーグも美味しいですよね。
なので、カレーの上にハンバーグ乗せたらもっと美味しいものになってしまいますよね!
さらにチーズを乗せたら最高に美味しい!!
…それは盛りすぎましたが、今日はそんな設定の小説を読み終えたので感想を書こうと思います。
今村昌弘さん著の『屍人荘の殺人』です。
めちゃくちゃ面白かった…が!
ぼくはこの奇跡の融合がめっちゃ面白くて一気読みしてしまい、その面白さをこれから書きたいのですが、そのためには何がカレーで何がハンバーグなのかを書かなければならず、それはこの小説の最初のドッキリをネタバレしなければならないんです。
というわけで、一切ネタバレ厳禁ですでに読むつもりでいらっしゃる方は今日はここまでとさせてください。
「おいおいりとさんよ、なにがそんなにおもしろかったというのだね?」って方だけ引き続きお付き合いください。
以後、核心に触れない程度、事件が起きるまでのあらすじ紹介ありで書かせていただきます。
主人公は大学のミステリ愛好会員
主人公はミステリ好きの大学生「葉村譲」くんです。
コミュ障をこじらせていた彼は、大学デビューを果たすためにミステリ愛好会に入ります。
彼を招き入れたのは、生粋のミステリオタクの「明智先輩」でした。
明智先輩は、常にミステリに飢えていて、大学周辺のいろんな事件に率先して首を突っ込んでいます。
2人だけの愛好会でしたが、明智先輩は葉村君にとってホームズであり、葉村君は明智先輩にとってワトソンなのです。
そんな2人に、ある美少女が妙な依頼を持ってきます。
「同じ大学の映画研究部の夏合宿に自分と一緒に来て欲しい」というものです。
「剣崎比留子」さんという同じ大学に通う美少女は、葉村くんたちとは違い、実際にいろんな事件に関わり、解決に導いて警察に表彰されるほどの、名実ともに探偵なのです。
…とこんな感じて始まるお話なのですが、最初は正直、半分探偵のコスプレしているような明智先輩の言動に厨二感を感じたり、ラノベっぽいヒロインの設定に「軽いノリなのかな?」とか思ったのですが、そこから物語は急加速します。
不穏な空気の演劇部の夏合宿
はじめは「夏合宿と称して、ウェーイでパリピな一夏のアバンチュールを期待してキャッキャウフフする会」って思わせる夏合宿ですが、雰囲気が何やらおかしいのです。
どうやら去年この合宿で何か起きたらしいのです。
演劇部の毎年恒例の夏合宿ですが、会場は先輩OBの1人の親が持ってるペンション「紫湛荘」が会場となります。
会場を提供する代わりに、その先輩は可愛い女子部員を揃えることを歴代の部長に課します。
先輩のお眼鏡に叶えば、部長は先輩の親のコネでいいところに就職が決まるとか決まらないとか。
そして、先輩OBが現役女子部員に手を出すようで、去年はついに自殺者が出たとか出ないとか。
おまけに今年は部員内に怪文書まで出回ったというのです。
どう考えても「これから殺人事件が起きますんでよろしく!」てな雰囲気です。
「どこで誰が誰を殺すんだろう?」とそわそわしながら読み進めていきます。
ところが…
最初の犠牲者はとんでもない死に方でした
初日の夜、バーベキューを終え、男女ペアの肝試し大会が催されます。
そしたらゾンビが出てくるんですよ。
もう一度言いますね?
ゾンビです。
しかも、大量の!
てっきり「山荘の密室殺人モノ」かと思うじゃないですか!
それがまさかのゾンビパニックなんですよ!!
というわけで、ここまで静かに殺人事件が起きるのを待っていた「溜め」の空気が、ゾンビから逃げるための騒動に引火して爆発します。
最初の犠牲者は、ゾンビに食い殺されて死ぬんです。
命からがら紫湛荘まで逃げ帰った残りのメンバーは鍵を閉め、バリケードを作り、ゾンビの侵入を防ぎます。
ゾンビに囲まれ孤立した状態で、いつ、どこから侵入されるかわからない極限の夜をすごすことになるわけですが、ここで殺人事件が起きます。
山荘の密室殺人ミステリーと、ゾンビパニックの融合です。
ともすれば、B級ホラーのギャグになりそうな物件じゃないですか。
それが、絶妙なバランスでシリアスを保つんです。
そこがめちゃくちゃ面白いんです。
当然、殺人のトリックなんかもゾンビが絡んできます。
そんなトリックなかなかお目にかからないじゃないですか。
次第にバリケードを突破されゾンビにペンションの敷地を奪われて行く主人公たち。
その中で続く殺人。
ラストはどうなってしまうのか!?
あとは一気読みでした。
実は「怖い」と聞いていたのでちょっと積んでました
ぼくと同じ理由で読むのを保留にしてる方がいらっしゃいましたら今すぐ読むべきです。
基準として、映画のバイオハザードと漫画の金田一の少年の事件簿がオッケーなら大丈夫なレベルです!
ぼくもすぐ続編に行こうかと思っています。
今調べたら、何が映画化もされるし、こちらで漫画版も読めるみたいですね!