3月にiOS版のFF3がセールになってることに気がつき、うっかり購入して少しずつ遊んでたんですが、あまりに素晴らしかったのでこの想いを語りたいと思います。
今日のお話はネタバレ有りで「今まで全く興味がなかったけどそんなに面白いの?」って方とか「あーわかる!自分もめっちゃ好きです!」って方に向けて書きますのでお気をつけください。
何者でもない少年少女たちが世界を救っちゃう
この物語はルーネスという少年のちょっとした冒険から始まるんですよ。
住んでる村の近くにある「危ないから近寄ってはいかん」って村長に言われてる洞窟に探検に行って、足を滑らせて深いところに落っこちるって場面からです。
これは、どうということのない少年の、思春期特有の「何者かになりたい欲求」を描いていて、それだけできゅーんと胸を締め付けられます。
この洞窟は、世界の秩序を守っている「クリスタル」のひとつを祀っている祭壇に通じていて、クリスタルは人語を話すことができて、ルーネスは「光の戦士」に選ばれるんですね。
そして旅に出ることになるんですが、近隣の村や城でルーネスと同じように光の戦士に選ばれた仲間たちと合流します。
性格がおとなしすぎて村の子どもたちに虐められている少年「アルクゥ」と、
鍛冶屋の娘で優しくてしっかり者の「レフィア」と、
この一帯を治める城の兵士で一見クールなんだけど真面目でちょっと天然っぽいところもあるイケメンの「イングス」です。
4人は「心に宿した光の力が強いから」みたいなフワッとした理由で光の戦士に選ばれるんですが、血筋とか、前世からの宿命とか、カルマとか、あんまりそういったことは語られません。
ぼくはそういうことろもなんか好きでした。
困った町を救う旅その街の英雄になって次の街へ
何者でもない4人は、旅先での町や城で、困ったり苦しんでたりする人々と出会います。
そして彼らを苦しめている悪者を退治していくのですが、その都度その地域で人々に感謝されていきます。
この「ちょっとずつ英雄になっていく感じ」がいいんですよ〜。
冒険してるって感じで!
いいタイミングで空を飛ぶ
「冒険してる」といえば、この物語は、空を飛ぶタイミングが絶妙です。
物語の割と早い段階で「飛空挺」という空を飛ぶ乗り物を手に入れるんですが、要所要所でパワーアップした飛空挺を手に入れ、行動範囲が広がっていきます。
この「空を飛んで視界が広がる感じ」なんですが、タイミングとワクワクのさせ方がジブリ映画に似てるなーと思うんです。
ジブリみたいといえば…。
物語中盤のドッキリネタバレを書きますね?
ルーネスたちが旅する世界には大きな秘密があって、実は10数年前に地殻変動が起きてほとんどの大陸が海に沈む中、一部の大地が地上から空に舞い上がった「浮遊大陸」であり、それまでルーネスたちが「ここが世界」と思っていた場所は「世界のほんの一部」だったのです。
そして実は、ルーネスたちはその時たまたま飛空艇に乗っていた乗客の子どもたちで、その飛空艇の船長である「シド」という人物が、沈む世界から浮遊大陸を見つけ、大災害の中どうにか死なせずに連れて逃げた生き残りの乗客だったというのです。
ルーネスたちの住んでた世界が実はラピュタだった。そして世界の真実へ。
シドからこのことを知らされた4人は、シドに最新鋭の飛空挺を作ってもらい、乱気流に妨害されて出ることのできなかった、浮遊大陸の「外の世界」へ旅立ち、初めて世界の真実の姿を目にするわけですが、この一連の流れをプレイしている時のドキドキがたまらないんです。
初めて来た「外の世界」は浮遊大陸以外何もない一面の大海原で、そんな中を飛空挺のプロペラの音だけを聞いていたファミコン版の思い出は、ずっと忘れられません。
黒幕の真相
外の世界で、黒幕から身を隠して起死回生のチャンスを狙っていた巫女に出会った4人は、彼女と協力して沈んでいた世界を復活させるのですが、そこでこの物語の黒幕の存在が明かされます。
かつてこの世界に「ノア」という大魔導師がいました。
彼は今際の際に、3人の弟子にそれぞれ自分の極意を1つずつ授けました。
1人目の弟子「ドーガ」には「大いなる魔力」を、
2人目の弟子「ウネ」には「夢の世界」を、
3人目の弟子「ザンデ」には「人の命」を。
しかしザンデは、人の命「しか」与えられなかったことに怒ります。
そして、世界を封印してしまうんです。
このエピソードが、また良いですよね!
ここで語られてるのって「人の素晴らしさと可能性」じゃないですか。
現にザンデは怒りの力で、人でありながら世界を海に沈めてしまい、ドーガとウネの力さえも押さえ込んでしまいます。
そのことが既に「人の可能性」を物語っていて、これこそ「ノアがザンデに与えたもの」ですよね。
このことに気づいた時、ぼくは何だか1つ、大人の階段を登った気になりました。
「闇」は「悪」ではない
ドーガとウネに出会ったルーネスたちは「光と闇のバランスが崩れたことで、世界が破滅しかけている」ことを知らされます。
ルーネスたちは「光の戦士」に選ばれましたが、だけど「闇と戦え」とは言われないんですよ。
ザンデが闇の力を増幅させて、バランスが崩れていて、そのバランスを元に戻さなければならない。
つまり闇もまた世界に必要なものだってことです。
ぼくはこの解釈が大好きです。
そしてエンディングへ
ファミコン版で、今でも語り草になるほど長丁場のラストダンジョン超えて、ザンデと戦い、ザンデが増幅させた闇の具現体とでも言えるラスボスを倒すという偉業を果たしたにもかかわらず、ルーネスたちは、まるで遠足から帰るかのような軽いテンションで故郷への帰路につくんです。
そんな彼らの姿に「お前らほんとにすごいことしたんだよ!」とエールを送らずにはいられません。
そしてその後のスタッフロールなんですが、最後にルーネスたちが画面越しにこっちに手を振ってくるんですよ。
やめろよ、オレたちずっと一緒だろ!?
本当に上質なファンタジー小説を読んだ後のような爽快感
世の中にいろんなジャンルのゲームがありますが、ぼくは小説を読むように物語を楽しめる作品が、やっぱり好きです。
そして、30年前のゲームのリメイクというのが利いているのか、過度な演出がないところが、それこそ本のページを開くように気楽にできてよかったです。
30年前に遊んでた記憶が蘇るってのもよくないですよね。アプリを開くと、脳内で小学生に戻ってしまうことを想像してしまうっていうか…。
でもほんと、これからも大切にしたい作品だなって思いました。
でも実は、ⅢよりさらにⅣのストーリーが好きなぼくです。