今日は坂本司さん著の小説『アンと愛情』を読み終えたので感想を書きます。
いつも通り、あらすじ紹介程度のネタバレがありますのでお気をつけください。
…といいつつ、この小説は『和菓子のアン』の続編の続編、つまり第3段なのであまり書くと前の2冊のネタバレになってしまいそうです。
というわけでいつも以上にサラッと内容に触れて、あとはぼくの感じたこととか思ったことをダラダラと書いて今日は終えようと思います。
おのお話は「梅本杏子」ちゃんという、なまえは「きょうこ」なんだけどみんなに「アンちゃん」と呼ばれている、食べることが好きでちょっと優柔不断なマシュマロ体型の女の子が主人公です。
アンちゃんは「これ以上勉強したくないし、かといって就職して働く自分もイメージできない」と進路を決めずに高校を卒業してしまい、「ならばせめてバイトをしよう」と思いつつも「食べるのが好きだから飲食系がいいけど、忙しいと大変そうだし、体型的にあまり可愛すぎる制服もNG!」と悩んだ末に、洋菓子屋ほどフリフリの制服ではなく、和のはんなりとしたイメージが忙しさとは無縁な気がして、百貨店地下フロアの和菓子屋「みつ屋」をバイト先として選ぶんですね。
で『アンと愛情』はアンちゃんがみつ屋でバイトを初めて2年が経ちました、みたいな感じで始まります。
アンちゃんは、みつ屋のスタッフも和菓子のことも常連のお客様も大好きで毎日が楽しくて「ずっと今の状態がつづけばいいのになぁ」と思っています。
でも、社会で働いて2年も経てばそうはいきませんよね。
また、好きが高じてオフ日に自分で和菓子について勉強したりもするようになったアンちゃんは、和菓子を通じて日本の文化や伝統、歴史に興味を持つんですが、これが学問というか本来の勉強なんだと気がつきます。
そして働くことを通じていろんな大人の人たちと交流し、価値観や考え方は人それぞれなんだということにも気づいていきます。
今回の話はそんな感じでアンちゃんの世界というか視野が広がっていく、そんなお話なんです。
考えてみれば、人なんて緩やかにしか成長できませんよね。
高校を卒業したのに、進学も就職もしなかったアンちゃんは、日本の常識からしたらあまり褒められた状態ではないのですが、学校を卒業したとか、20歳になったとか、そんな節目で「ハイ今日から大人です!」みたいにはなかなかいかないもんです。
ひとつずつ、目の前に転がってきた問題に対処していきながら、経験を積んで知識を増やしてちょっとずつちょっとずつ成長していくもんですよね。
これはたまにぼくがブログで呟いてる話なのですが、20歳過ぎたら体の成長止まってあとは老いるだけ、とかそんな人生は単純じゃなくて、大人になってから得られる知識と経験の量は学生時代の比じゃなくて(それはぼくが偏差値の高い学校に行ってなかったからかもしれませんが)、どこまででも成長していけるんですよね。
だからなんか「アンちゃんは素敵な人生送ってるよな〜」なんて思いつつ、エールを送りながらページをめくってしまい、なんかこっちも元気をもらってしまう、そんな物語なんです。
…ってそーいえばぼくも大学を卒業したあと就職せずにニートになったんでした!
だから余計にアンちゃんにシンパシーを感じるのか。
最後に、このシリーズ読んでる最中、和菓子がめっちゃ食べたくなりますのでご注意ください。