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【読書感想】『じんかん』大河モノって後半が寂しくないですか?

今日は今村翔吾さん著の小説『じんかん』を読み終えたので感想を書こうと思います。

「あーやばい、ページめくる手が止まらん」ってところまでのあらすじ紹介程度のネタバレがありますのでお気をつけくださいね。

じんかん

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舞台は戦国時代の日本です。

物語は織田信長に仕える小姓「狩野又九郎」の一人称で始まります。

彼が当直の夜、謀反の知らせが届きます。

首謀者は「松永弾正」。

天下統一まであと一歩のところまで来ているこのタイミングで謀反の知らせなど、親方様の怒りをかって、自分はその場で切り捨てられてしまうのではないかと怯えながら報告に行くと、信長は笑いながら「今やめるなら許すと伝えよ」と言います。

松永弾正は、自分の主の家を乗っ取り、将軍を誅殺し、奈良の大仏を焼くという三悪をやってのけた極悪人と噂されている人物でした。

しかも、信長への謀反は今回が初めてではなく、以前に一度やっていて今回は二度目だったのです。

なのになぜ許すというのか。

全く意味がわからない又九郎。

そんな又九郎さんに向かって、信長が独り言のように以前弾正から聞いた、彼の生い立ちとこれまでの人生を語り始めます。

始まりは、追い剥ぎで生計を立てていた孤児の少年少女たちの徒党の話でした。

…って始まるお話です。

どうですか?

歴史ファンでなくても気になる始まり方じゃないっすか?

スラム高校出身のぼくは、当然のように日本史も弱くて「松永弾正ってなんか大河ドラマとかで聞いたことあるな?」って感じだったんです。

で、今回ちょっと調べて見たんですが、前述のような三悪をやってのける一方で、信長が安土城の手本にしたと言われる城を築き、茶の湯や舞にも優れていて、信長のお気に入りの家臣だったという、なんかダークヒーロー感の強い武将なんですよね。

そんな人物が、どんな想いを胸にひめ、どんな経験をしながら成長し、信長に謀反を起こしたのかが語られていくお話でした。

それは、苦境にあった少年が、希望を手にして成り上がり、信頼できる仲間や師を得て成長していくヒューマンドラマです。

キングダムとか好きな人は堪らんと思います。

これぞ大河ドラマ!って感じです。

個人的な話なんですが、ぼく以前はよくNHK大河ドラマ見てたんですが、最近見なくなっちゃったんですよ。

何でかっていうと、1人の人物の一生を追うじゃないですか。

つまり、どうしても後半は人生の黄昏を描くことになりますよね。

それが、ものすごく切ない気持ちになるんです。

あの、前半でともに笑い合っていた仲間たちが、1人、また1人と散っていく感じ。

そして、主人公も追っていた夢に次第に限界が来る感じ。

なんかこう、段々と、そういうのを見るのが寂しいというか、自分の人生の時間を考えてしまうっていうか、そんなことって、ないですか?

この小説も、そんな感じになっていくんですよね。

だからなんか、読み終わったら、寂しくなっちゃいました。

でもきっと、弾正さんはいい人生だったんでしょうね。

世界を救った英雄が、ヒロインと結婚してハッピーエンドって物語も、もしそこで幕を下さなかったら、再就職先のない主人公が保育園に入れられない我が子の育児で途方に暮れる、みたいな続きが描かれるかもしれません。

それは、だれも見たくない話かもしれませんが、それこそ人生なのかもしれません。

大河ドラマの寂しさって、ここにつながってるのかもしれませんね。

ちなみにこの小説、『カンギバンカ』というタイトルでコミカライズされてます。

めっちゃ良いとこまで試し読みできますので、よろしければどうぞ。

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