【読書感想】『変な絵』変じゃ済まされない気味の悪さを楽しむ

雨穴さん著の小説『変な絵』を読みました。

この小説、ホラーとミステリのハイブリッドで、気味が悪いやら面白いやらで一気読みです。

変な絵

変な絵

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以下、ネタバレしないようにあらすじと感想を書きます。

プロローグは、心理学者の萩尾さんが、母親を殺害した小学生の女の子の絵を大学の講義で学生に紹介するシーンから始まります。

提示された絵から女の子の心理を読み解き、萩尾さんは、その女の子が更生して大人になり、今では真っ当に社会生活を送っていることを話すんですね。

そこから本編が始まります。

大学4年生の佐々木さんは、サークルの後輩である栗原くんから「七條レン 心の日記」という不思議なブログを紹介されます。

最新記事は「今日でこのブログをやめます」という内容なのですが、遡って最初の記事を読んでみると、奥さんが妊娠したことが書かれていて、これから自分が父親として成長していく記録を残そうとして始めたブログだということがわかりました。

ユキさんという奥さんは元イラストレーターだったため、以後の記事にはユキさんのイラストが時々添えられていました。

最初は微笑ましい内容の記事が続くのですが、次第に不穏な空気が漂い始め、ブログ主のレンさんにショッキングな出来事が起こり、最新記事を残してブログは更新が止まってしまいます。

佐々木さんの後輩の栗原くんは「ユキさんのイラストに重大な謎が隠されている」と言います。

佐々木さんがその謎に気づいた時、それがまた…怖いんですよ。

ここで第一章が終わります。

レンさんとユキさんに何があったのか…続きが気になって急いで第二章を読み進めると、主人公が直美さんという女性に変わります。

直美さんは優太君という6歳の男の子と2人暮らしで、優太君がある朝行方不明になるお話なのです。

優太君がいなくなったことを保育園の担任の先生に伝えると、優太くんが母の日に向けて描いたお母さんの絵が変だったと言って見せてくるのですが、これがまた気持ちが悪いのです。

といった感じで、オムニバス形式で各章主人公が変わりながら物語が進んでいくのですが、鈍いぼくでも第三章の後半で、これらの物語が一本に繋がってることに気がついてしまいます。

そーなんですよ、プロローグで紹介された母親殺しの女の子の絵です。

おっと、これ以上語るのはやめましょう。

読みやすい文体で、絵も多く、一気に読めてしまいます。

読んだ日の夜はちょっと気味の悪い気持ちになること間違いないしです。

ちなみに、

「七條レン 心の日記」なのですが、

このブログ、実在するんですよね。

nanashinoren.blog.jp

こわー!