【読書感想】『ほたるいしマジカルランド』働いて幸せになる物語

今日は寺地はるなさん著の小説『ほたるいしマジカルランド』の感想を書きます。

以下、あらすじを紹介する程度のネタバレがあります。

この物語は、大阪の北部のベッドタウンに位置する遊園地が舞台なんです。

「マジカルおばさん」と呼ばれて親しまれて(?)いる名物社長が運営する、地域に愛された遊園地です。

今お読みの皆さんの地元にも、ディズニーの小規模版みたいな遊園地、あるんじゃないでしょうか?

その地域の特色や、経営陣の独自の発想で頑張ってる感じの、東京ディズニーランドほどのクオリティには到底及ばず、「ザ・バイト君」なキャストの方に対応されたりすることもあるものの、代わりに肩肘貼らずに気楽に遊びに行けるような、そんな遊園地を、ぼくは想像しながら読みました。

物語は、各章で主人公が代わります。

「社長が入院しましたが、1週間ほどで退院しますのでご安心を。」と朝礼で告げられてからの1週間を、園内で働く従業員が各曜日日替わりで主人公になりながら、各人がそれぞれ、自分の人生に悩みや葛藤を抱えながらも、仕事に精を出したり出さなかったりする様子が描かれます。

現代人は、お金のために働かないといけないですよね。

でも、お金だけがあれば良いわけでもないですし、仕事に人生全てを「奪われて」しまってはいけないですよね(「捧げる」なら良いとも思います)。

ぼくたちが普段接する、いろんなお店や施設で働いてる方々にも、それぞれの人生があるわけで、そんな人生をより豊かにしたくてぼくたちにサービスを提供してくれてるんだよなーって、当たり前のことを再確認せずにはいられない、そんなお話なんです。

読み終える頃にはなんだか心が暖かくなって、明日も仕事頑張ろう、とか思っちゃったり、そんな小説でした。