はらだみずきさん著の小説『海が見える家 それから』を読みました。
これはぼくがこのブログで、えらく感動した旨を綴った『波に乗る』の続編ですので、以下波に乗るのネタバレが絡んでくるので読む際はご注意ください。
大卒で入ったブラック企業を1ヶ月で辞めた主人公の文哉くんに、疎遠になってたお父さんの訃報が届き、子育てを終えたお父さんが自分の人生を取り戻すために、片田舎で別荘の管理の仕事をしながら地域に根ざした人間関係を作ったりサーフィンをしたりしてたことを知ったって話だったのですが、今回は「お父さんが残してくれた家と仕事を引き継いだ文哉くんのその後」なお話でした。
お金があればなんでも買える現代社会で就職して汗水垂らすことに疑問を持った文哉くんが自給自足な暮らしに奮闘しながら「働く」とはどういうことかを哲学するお話で、ある種とってもファンタジーな気がするのですが、それはぼくがそういった生活をしたことがないから現実味がないだけかもしれないとも思いつつ、実際にやろうと思ったら相当しんどいだろうな、と感じながらも「でもこういうのもいいなぁ」と思ってしまう、そんなお話でした。
「田舎で自然を相手に生きてくのはそんな生優しい話じゃないぞ!」という声も聞こえてきそうなお話なのですが、フィクションですからね。
こうやって、自分のリアルを一旦忘れて、架空の人生に寄り添うのも、とってもいいことですよね。
『レーエンデ物語』と同じく今年の個人的本屋大賞ノミネート作品です。
今週のお題「好きな小説」