お絵描きは無駄だからいい

就職してすぐくらいの頃、あまりの仕事の多さにびっくりして、でも、当時は「仕事があるだけありがたい」とか本気で思ってたので、なんとか要領よく仕事をこなそうと思って、自己啓発の本とか、ライフハック的な情報とか集めまくってました。

あれからもうすぐ20年くらい経つんですが、最近は「選挙ハック」みたいな言葉も出てきたせいか、「ハック」という言葉がぼくが昔せっせと情報を集めてた頃とは、かもす雰囲気が変わってきたなーと感じるようになってきました。

コスパやタイパを突き詰めて、やっとできた時間で隙間バイトや資産運用するのが正義、みたいななんかそんな空気があるせいかな?とか思うんですが、専門家でもなんでもないので、ぼくの思い込みかもしれませんね。

別にコスパ、タイパが悪いとは思わないんです。

最近は「静かな退職」という「どうせ給料上がらないならクビにならない最低限の仕事をして低燃費に働く」って考え方もあるっぽいのですが、ぼくはやっぱまだ古い世代なのか「効率よく働いて勤務時間内に結果を出す」みたいな方がコスパ、タイパって言葉と親和性が高いです。

そうやってやるべきことをやったら、余暇の時間は無駄なことがしたいのです。

文化って生命を維持するためには無駄なことばっかです。

でも、人間は心っていう無駄なものを得てしまった生き物じゃないですか。

そして、心を健康に保つためには文化が必要で、文化的な暮らしって「人間やってる」って感じがするじゃないですか。

お絵描きだって、食う・寝る・子孫繁栄とは関係ない無駄なことですが、すごい絵は感動をくれて、うっかりすると「それだけでいい」とか思わされたりして「自分も生み出す側になってみたい」とか思ってお絵描きを始めたりしますよね。

というか小さな子どもは放っておいてもお絵描きするわけで、「絵を描きたい」というのは根源的な人間らしい衝動なのかもしれません。

そう考えたら「下手でも楽しく描けたらそれでいいじゃん」とか思ったりして、なのでぼくは今年も、効率よく働いて、ちゃっかり「仕事のできる人」って評価ももらいつつさっさと帰り、夜な夜な無駄なお絵描きをする毎日を送りたいなーと思ったりしています。

今年もよろしくお願いします。