定年退職したら、憧れだった美術の大学院へ入学するか、眺めのいい地域へ小さな別荘を建てて死ぬまでDIYするかが夢でした。
でもきっとぼくが60代になる頃には定年は80歳くらいになって、退職金もあるのかないのかよくわからない時代が到来してるんだろうな…なんて今日この頃感動した映画についてダラダラ書きます。
「友」と「好きな仕事」に恵まれた老後。素晴らしき贅沢な人生!
パリで成功を収めた主人公の画家さんは、華やかで騒がしい都会の生活にひと段落つけて死んだ両親の残した家のある田舎町のカンパーニュに帰ってきます。そして、庭の手入れをしてくれる職人の募集をかけたところ、やってきた庭師は小学校時代のいたずら仲間のアイツだった!というお話です。
すっかり二人は意気投合して、お互いを「キャンバス」「ジャルダン」とあだ名で呼び合います。小学校時代の友達って、いい歳になっても当時のあだ名で呼び合い続けますよね。そんな自分の体験と相まって、すごく微笑ましい!
パリで画家として成功を収めて、広大な敷地の持ち家に使用人を雇えるなんて、キャンバスは一見すると人生の勝ち組です。でも、彼は自分の描く絵に満足いってなくて(描きたい絵と売れる絵が一致してない感じ)、奥さんと娘ともギクシャクしてる(自分の浮気が原因なんだけど)。一方でジャルダンは一見貧乏そうなんだけど、定年まで勤めあげた国鉄に心から感謝していて、奥さんとも円満で、昔から憧れだった庭師の仕事を年金もらいながら半分趣味みたいにやっているっていう人生の充実っぷり。
そんな風にコントラストはあるものの、子どもの頃一緒にいたずらをしたっていう熱い絆で結ばれている2人の日常を追っていく物語です。絵を描き、庭の手入れをする老人2人の何気ない会話。都会で売れる為に世の中の酸いも甘いも噛み分けて疲れたおっさんを、田舎で仕事と家庭だけを愛し往復し続けたおっさんが癒す。イイ!
こんな老後が送りたい!
仕事が忙しいからって友達と疎遠になってないか?
定年してもやりたいって思えるような仕事に出会ってるか?
そんな今の自分の日常を点検せずにはいられない衝動に駆られる、あったかくて優しい、そして切ない物語です。
最後は、2人の年齢的に健康の話題になっていくわけなのですが、是非観てもらいたいです。