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【読書感想】『洪水の年 上』壮大な近未来SFディストピア

今日は『洪水の年』という小説の上巻を読んだ感想を書こうと思います。

登場人物が多くて混乱しましたが、SFファンには堪らない壮大な物語でした。

あらすじ紹介程度のネタバレがありますのでお気をつけください!

洪水の年(上)

洪水の年(上)

 

新型ウイルス「水なし洪水」によって人類滅亡

「トビー」と「レン」という2人の女性主人公のパートが交互に語られながら話が進んでいきます。 

今よりちょっと未来の世界が舞台です。

そこでは、遺伝子操作の技術が進み、ぼくらが見たコトない動植物が世界に溢れ、人々は合成物質でできたものを口にし、貧富の差は二極化が極限まで進んでいました。

しかし突如、新型ウイルスが蔓延し人類が滅びます。

そんな大災害を別々の場所で乗り越えたトビーとレン、2人はそれぞれ「自分以外の人間はみんな滅んだのかもしれない」と思いながら日々を孤独に暮らしています。

トビーとレンは、文明の発展を否定し、自然や動植物と共に生きることを提唱する超エコロジカル宗教団体「神の庭師たち」に身を置いていました。

「神の庭師たち」の教祖たちは、以前から「水なし洪水」が起きて人類は滅ぶと予言していたのでした。

日々を孤独に過ごしながら「神の庭師たち」での生活を思い出す2人

物語冒頭、トビーとレンの孤独でサバイバルな日常を追っていたかと思うと、2人の過去の話が始まります。

トビーは裕福な家庭で育ち大学まで順調な人生を送るのですが、母親の病死と父親の没落と自殺で突如天涯孤独の身となります。その後は身分証を抹消し、体を売ったり卵子を売ったり、そんな中で何とかありついた仕事で暴力的な支配人に体を弄ばれる日々を送っていたところで、神の庭師たちの教祖「アダム1号」に救われ、そのまま神の庭師たちの信者になります。

胡散臭いと思いながらも「今までよりはマシ」と、次第に神の庭師たちでの生活に馴染んでいきます。

レンも裕福な家庭で育った女の子でしたが、仕事一辺倒で家庭を顧みない父親に愛想をつかした母が、偶然知り合った神の庭師たちの団員である「アダム7号」に恋をし、レンを連れてそのまま押掛け女房的に神の庭師たちに入団します。

レンは母親に半ば強制的に連れて行かれ、ストイックな生活に嫌気がさしていたところを、スラム街でアマンダという名前の、1人でたくましく生きている女の子と仲良くなります。

レンは彼女を神の庭師たちに誘います。

どこか怪しい神の庭師たち

ちょろっとだけ書いた通り、神の庭師たちは「アダム1号」というリーダーを先頭に、男性指導者は「アダム」、女性指導者は「イブ」を名乗り、他の信者たちを導く構成になっています。

彼らは自然崇拝を掲げているので、一切の電子機器の使用を禁じ、動物は全て神の子として等しいとして肉を食べません。

遺伝子操作と格差社会が当たり前の世界で、神の庭師たちは一見穏やかな日々を送っているように思えるのですが、どこか怪しいのです。

みんなニコニコしていますが、それぞれに何か思惑がありそうなアダムとイブたち。

そもそもアダムとイブが沢山いるのがうさん臭い!

そして「水なし洪水」という終末への不安。

じわりじわりと、不気味な雰囲気が漂ってくる気配を感じながら、いびつな世界で生きていくトビーとレンの日常を追っていくのが上巻でした。

この、凝った設定とディストピア感、SF好きには堪らんです。

すぐ下巻に行こうと思います!