人生はまだ前哨戦かもしれない

なんか最近「新美の巨人」たちが「新」じゃなかった頃の雰囲気に戻ってきた気がして見てて楽しいです。

「新」になったころ雰囲気がガラッと変わって「前の方がよかったねぇ〜」なんて職場のアート好きの人と世間話してたんですが、そう思われてる方が多かったのかな?

見られてる方どう思います?

そんな番組で、ちょっと前なんですが女流画家の秋野不矩さんの特集をされてたんですが、ぼくうっかり泣きかけてしまいました。

www.tv-tokyo.co.jp

この方、21歳で本格的に絵の勉強を始めて同じく画家の夫と結婚し6人の子に恵まれ、家事育児と仕事に追われながら「自分が描きたいものはなんなのか?」と悩む日々を送ります。

そんな不矩さんは54歳の時に仕事でインドにいくことになり「これだ!」ってなって自分が本当に描きたいものと出会ったのだそうです。

ぼくは男だし子どもは3人なんですが、シンパシーを感じずにはいられませんでした。

秋野不矩さんは子育てに追われて外に取材に行くことができなかった頃、子どもたちをモデルに絵を描いてたそうです。

ぼくも自分の子どもたちをモデルにした絵が何枚かあります。

それらを見た友人知人は「家族愛に満ち溢れてるねぇ〜」とコメントくれるんですが、そのたび「いや〜家に帰れば必ずいるモチーフなんで」なんて返していて、それはたいていぼくの謙遜だと解釈されるんですがこれが本心なんですよね。

もちろん、子ども特有の生命力とか躍動感みたいなものに魅力は感じるのですが、家族愛が筆をとる原動力か?と言われたらそれは二の次なんです。

番組でも秋野不矩さんは6人の子どもに「恵まれた」と表現しながらも「悩んだ」と解説されてるんですよね。

ここに、なんというか画家の悩みというか葛藤というか、個と社会の意識の溝というか、いろんなものが集約されてるように感じました。

本当はぼくだって外へ出て行って心ゆくまで花鳥風月をスケッチして帰りたいんです。

寝食を忘れて気絶するように寝るまで絵筆を握りたいんです。

なんかそんなことを思いながら見てたら目頭が熱くなって熱くなって…おっふ。

秋野不矩さんはその後92歳までインド、アフリカを題材にした絵を制作されたそうです。

この方にとって画家人生の本番は53歳からだったのです。

「ぼくの人生もまだ前哨戦かもしれない」と思いました。

ぼくもここ数年毎日が忙しくて、進んで死ぬ気はさらさらないんですが同時に「いつまでたってもこんなに絵を描く時間がないままなら、まぁいつ死んでも良いかなぁ」とも思うようになってきてました。

でも、ひょっとしたら何かのきっかけにものすごく道が切り開けるかもしれませんね。

そんな事を思うと、またしても目頭が熱くなってしまって…おっふ!

というわけで、思い切り絵筆を握って気を失うように寝られるようになる日を夢見て今日もiPadでお絵描きをします。

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