こんにちは。
今日は「幸せとは何か」について小学生の主人公、菜乃花ちゃんが一生懸命考える物語住野よるさん著の『また、同じ夢を見ていた』の読書感想です。
あらすじ紹介程度のネタバレがありますのでお気をつけください!
「ちょっとおませな小学生の女の子が幸せについて考える」お話は大人には突き刺さりすぎる…!
幸せについて考える子どもの話である以上、このお話はハッピーエンドで終わるはずです。そんな期待が、仕事をこなすサラリーマンには心のビタミンでした。
菜乃花ちゃんは、周りのクラスメイトに比べると、かしこい女の子です。そして自分が賢いことに自覚があるためクラスの子達がバカに見える。そして態度にも出る。そのせいでクラスから浮くのですが、自分も周りに合わせる気がないのでそれでいいと思ってる系女子です。
そんな菜乃花ちゃんは「もっとかしこくなるため」に学校にはとりあえず行くものの、授業が終われば真っ直ぐ帰ります。でも、菜乃花ちゃんは寂しくない。なんでかっていうと、放課後一緒に過ごすのが楽しみな「お友達」がいるからなんですね。
雨の日に助けて以来、放課後行動を共にしている悪女な野良猫の「彼女」。
クリーム色のアパートに住んでいて、すごく美人なんだけど表札が手書きで書き殴られていて、季節を売る仕事をしているという「アバズレさん」。
廃ビルの屋上にいつも一人でいて、手首を切って血を見ると落ち着くという女子高生の「南さん」。
森の中のおしゃれなログハウスに一人で住んでいる「おばあちゃん」。
3人の不思議な女性たちと1匹の美女猫
この物語は、菜乃花ちゃんが日中の学校時間をため息をつきながらこなし、放課後になると水を得たように「彼女」と連れ立って、アバズレさん、南さん、おばあちゃんの3人のところに訪問し、学校の宿題で出された「自分にとって幸せとはなにか」っていうテーマについて、いろんなことを学びながら、ちょっとずつ成長していくって日常を追った話です。
なんかね、アバズレさん、南さん、おばあちゃんの描写が、おもひでぽろぽろとか、おもいでのマーニーの空気感なんですよね。そしてこの3人、読んでいくうちに、めちゃくちゃ意味深な言動を見せるようになります。菜乃花ちゃんが3人を見つけたのか、3人が菜乃花ちゃんに会いに来たのか。
読了後の幸福感がたまりません。そして自分も、置かれている環境や現場で、だれも自分を幸せにしてくれないから「自分は不幸だ」なんて思っちゃダメだな、って思わされます。
たとえどんなに嫌いな仕事を仰せつかっても、幸せを感じられるように自分でコーディネイトしなきゃなっていう、プラスな力をもらいました。作中、菜乃花ちゃんが口癖のように歌う歌があるんですね
しあわせは あるいてこない だからあるいていくんだね
誰でも知ってる国民的フレーズですが、改めてこの歌詞の奥の深さについて考えました。