今週のお題「私のタラレバ」
どうも、休日出勤すると自分のペースで仕事がはかどるので「できる大人感」を存分に満喫できるのですが「でも今日って休日だよな…。」と思った瞬間しょんぼりするぼくです。
今日は「ツバキ文具店」という小説を読み終えたので、読書感想文をしたためます。例によって冒頭のあたりのネタバレが含まれますのでお気をつけ下さいね!
「もし自分の腕一本で商売する道を選んでたら」って想像しちゃう本です
主人公の雨宮鳩子さんは、鎌倉で「ツバキ文具店」という店を営んでいます。表向きは 文房具屋なのですが、本職は代々伝わる手紙の「代筆屋」さんです。名前が鳩子なので、愛称は「ポッポちゃん」。
自分の腕で商売をして、ご近所やお客さんと交流しながら、古都鎌倉に店を構えて毎日を丁寧に暮らす…。舞い込んでくる仕事は、年賀状の代筆に始まり、絶縁状みたいな物騒なものもあれば、天国からのラブレターなんてウルっとくるものまで多種多様なものが登場します。ポッポちゃんは依頼主の心に寄り添い、自分の気持ちを整え、「最も適切だ」と思える紙、書体、文面、筆記用具を選んで一筆入魂。完成した手紙もそのまま作中に登場します。
ああ、ええなぁ。
サラリーマンをしてると、憧れずにはいられないシチュエーションです。なまじ美術の大学なんかを卒業してると、余計に考えちゃいますね。学生時代、じつはちょっとだけ絵で収入があったんですよ。でも、それを生業にはできなかったんですね。なんというか、社会や人としっかり関わって、家庭とマイホームを持ちたかったんです。自分の内宇宙とひたすらに向き合い続けることができませんでした。今みたいに、ネットが十分に発展してたらまた違ったかもしれませんね。
「絵で食っていく」は叶えませんでしたが、その代わりに叶えたかった夢は叶ったし、このブログのように趣味にした絵を発表する場もあるので、そういう意味では幸せなんでしょうが「あのまま絵の仕事を続けてたら」って考えないでもないです。
でも、当然この物語の主人公のポッポちゃんの人生は幸せばかりではないんですね。
「おばあちゃん」と呼ばせなかった「先代」
ポッポちゃん家の代筆業は、古くはお殿様の公的な文書を代わりに書いたりといった由緒正しい仕事で、ポッポちゃんも育ての親であるおばあちゃんに子供の頃から厳しく指導を受けました。
おばあちゃんは、自分のことをポッポちゃんに「先代」と呼ばせ、物心つく頃から字を教え、小中学校時代は友達と遊ぶことなく、まっすぐ家に帰って字の稽古を続ける日々を強いてきました。
そのせいで高校時代にポッポちゃんはついに爆発し、先代と喧嘩しヤンキーとなり、その勢いで家を飛び出し、世界を放浪してた海外で先代の訃報を聞き、複雑な気持ちがブレーキになって最期を看取ることもできず、でも結局帰って来て「ツバキ文具店」を継ぐことにして半年。ってところが実は物語冒頭のポッポちゃんの状態です。
物語はそこから、店を切り盛りしながらの1年間を描いていく物語です。
どうですかこれ?絶対後半泣かせる気満々の設定ですよね?
泣けました。
先代と過ごした店で、先代から培った技術でおなじ仕事をしながら、たまに先代にゆかりのあるお客も登場し、少しずつ先代のことがわかっていくわけです。でも、先代はもういないのです。そして、なぜか登場しないポッポちゃんの父母。
ああー、だめだー。いい話すぎるー!!新年早々、今年の「おれ本屋大賞」ノミネート作品が登場でした。
今日のスケッチ
文具つながりで「ホッチキス」
リサイクル全盛期の今の時代、ホッチキスでとめられた書類を渡されると、若干の舌打ちを禁じ得ないぼくです。昔はコピー本をつくるためにあんなにお世話になったのにね!