お元気ですか?りとです。
芥川賞受賞作「異類婚姻譚」を読みました。
結婚10年目を邁進しているぼくにとってめっちゃ考えさせられる本でした。
あらすじ紹介程度のネタバレがあります、お気をつけください。
主人公は専業主婦のサンちゃんです。サンちゃんは激務のOL時代から逃れるように、イケメンではないものの、稼ぎはしっかりしているが家ではダラッダラのダンナと結婚して4年目です。
サンちゃんは、最近自分の顔がダンナに似てきたように感じてます。
この「似ている」というのが、雰囲気とか感覚の話ではなく、鏡の前で目鼻が動いている、顔のパーツが自分の顔を忘れている、と表現するあたりがこの物語はめちゃめちゃシュールです。
というか、軽くホラーです。
この小説が纏っている独特の不気味さ、どこかで感じたことがあるな、と思いを巡らせると、子供の頃みた「まんが日本むかし話」 の感じに似てると思いました。
「まんが日本むかし話」って、ほっこりする話ばかりではなく、たまにもののけや妖怪のようなものにだまされて、おじいさんやおばあさんが行方不明になったり、人ならざるものになってしまう不幸な結末の話とかあったように記憶してるんですね。
なのに、絵柄や雰囲気はいつものほんわかしたまんが日本むかし話調で、幼心ながらに心がザワザワした思い出があるんです。
この小説は、あれになんか似てるんです。
ロボット掃除機や食器乾燥機が働いてくれるので、主婦らしい仕事は特になく、子供も授かる気配もないので育児も無縁で、だからといってこれといった趣味もない、そんな日常を淡々と過ごしていくサンちゃん。
唯一の話し相手は、仕事が大変なので家ではダラダラしてたいダンナ。
そして顔が似ていき、輪郭が溶け合っていく二人。
最後に待っている結末とは…!?
「やっぱり結婚なんてするもんじゃないな」とか「結婚するってそんなことじゃないよ!」とか、好き嫌い、というか賛否両論を巻き起こしそうな、エッジの効いた本だなー、って思いました。
ちなみにぼくは、未婚の後輩とかに飲み会の席で「結婚っていいですか?」って聞かれたら「いいこともわるいこともあるけど、噛み締めて経験値蓄えて、結果いい距離感を掴めれば、夫婦っていいものだよ。」とか答えてます。