【読書感想】『和菓子のアン』幸せなデパ地下お仕事ミステリー

こんにちは。

今日は「幸せな気分」をプレゼントしてくれる小説のご紹介です!

あらすじ紹介程度のネタバレがありますのでお気をつけください。

食べることが大好きなマシュマロ系女子のふんわりミステリー

 
和菓子のアン (光文社文庫)

和菓子のアン (光文社文庫)

 

 主人公の梅本杏子ちゃん18歳は、杏子の「杏」の字から「アン」ちゃんと呼ばれます。

もうすぐ高校卒業の杏ちゃんは「これといって進学して勉強したいこともない。かと行って即就職もピンとこない。」なんて思いながらズルズル高校を卒業してしまい「これじゃやばい」とバイトを始めます。

「自分の体型のことは自分が一番よくわかってる。可愛い職場は似合わない。しかし10代女子としてのプライドも捨てられない。」という厳しい条件から見つけたバイト先は、デパ地下の和菓子屋さんだったのでした。

どこがミステリー?

ズボラなJKがフリーターになるところから始まるこの物語ですが「なんでミステリーなのか」っていうと、和菓子の名前や造形に込められた意味や謂れが、メッセージや暗号としてこの物語で機能するんです。

で、同じ店で働く個性的な(本当に個性的で魅力的な)スタッフや、和菓子にいろんな想いを込めて和菓子を選ぶお客さんたちと関わることで、杏ちゃんのデパ地下での日常のなかでふと生まれる「不思議」や「疑問」がミステリーになるってお話です。

そして読む側は、それぞれの和菓子に込められた「メッセージ」にほっこりし、杏ちゃんと一緒に和菓子に詳しくなって、次第に社会人として成長してく杏ちゃんを見守る展開になるんですね。

「和菓子って奥深い!」って思わされます。そしてさらに「和菓子って楽しいな!」とつい和菓子屋さんに行きたくなってしまいます。できれば「デパ地下」に。

「デパ地下」が舞台ってのもなんかいい

同じフロアで働く他の店の人も登場します。

そんな「多くの人が行き交う感」が、「いろんな出来事が起きそう」となんだかワクワクさせてくれます。

ところでこの主人公の杏ちゃん、実はすごく聡明で努力家だということが次第にわかってきます。

食べるのが大好きで、節制できないってところもあるものの、明るく、仕事に熱心で、「小さな頃から周りが自分に求めるキャラはわかってる」と処世術にも長けています。

それでも、高校卒業後に進学か就職か選べないんだなー、ってつい思いました。

きっと「納得いく答えが自分のなかに見つけれられないと行動に移せない。」っていうのが、良くも悪くも今風の「いい子」なのかもしれないですね。

すごく繊細で真面目。

ぼくら世代にはなかった感覚かもしれないなー。「とりあえず流れに身を委ねとけー」みたいなのがありましたもんね。

まぁ、ぼくらは「勉強して大学行ってれば大丈夫」って流れに身を任せていたら大学卒業の頃に「就職先なんてないよ」って突然言われたわけなので、どっちがいいとかわからないんですけどね!