ウェス・アンダーソン監督の新作映画『犬ヶ島』がレンタル開始になってたので借りて見ました。
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』お好きですか?
ウェス・アンダーソン監督は『ファンタスティック Mr.FOX』という狐の家族の物語を描いたストップモーションアニメを見て衝撃を受けた監督さんでした。
ファンタスティック Mr.FOX [AmazonDVDコレクション]
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2018/04/27
- メディア: DVD
- この商品を含むブログを見る
「ティムバートン監督以外にもこんなすごいストップモーションアニメをつくる監督がいるのか!」と感動した作品、といえばご理解いただけるでしょうか?
というわけで、この映画もめっちゃおすすめです。
その後『ダージリン急行』も見ました。
どちらも基本ほっこり系なんだけど、なんかあちこちに毒がある感じとでも言いましょうか?派手さはないんですが、見てるとじわじわと味が滲み出てくるというか、好きな人はどっぷりハマる。そんな監督さんだなーって思うんです。
『犬ヶ島』の公式サイトでは「あの、グランド・ブダペスト・ホテルの…!」と紹介されてましたが、こちらは「しまった見忘れてた!」です…どんまい!
「そうじゃないよ!」を楽しむ
さて「犬ヶ島」なのですが、日本好きな監督の「日本リスペクト」がてんこ盛りになっている作品でした。 しかも、毒っ気満載です。
あらすじを公式サイトから引用させていただきます。
近未来の日本。ドッグ病が大流行するメガ崎市では、人間への感染を恐れた小林市長が、すべての犬を“犬ヶ島”に追放する。ある時、12歳の少年がたった一人で小型飛行機に乗り込み、その島に向かった。愛犬で親友のスポッツを救うためにやって来た、市長の養子で孤児のアタリだ。島で出会った勇敢で心優しい5匹の犬たちを新たな相棒とし、スポッツの探索を始めたアタリは、メガ崎の未来を左右する大人たちの陰謀へと近づいていく──。
http://www.foxmovies-jp.com/inugashima/
犬ヶ島に単身乗り込んできたものの怪我をして意識を失ったアタリ少年を、懸命にこの島で生き抜き、再びご主人様と暮らしたい5匹の犬たちが救います。
彼らは、アタリが飼い犬であるスポッツを救いに来たことに感銘を受け、ドッグ病で自我を失ったり、人間に絶望したりした犬たちがひしめく犬ヶ島を舞台に1人と5匹の冒険が始まります。
「ドッグ病」は小林市長が自分の政権の意図的にでっち上げたものだったりして「生類憐れみの令」の逆バージョンみたいな感じがします。
そういえば、登場人物の衣装が面白いんですよ!
「時代劇の衣装に洋服のテイストを足しました」みたいな。
きっと「鎖国から開国して一気に西洋化」みたいな流れを取らなかったら、こんな風に緩やかに融合したんじゃないかな?って思わされるような感じです。
ペットたちが捨てられた「犬ヶ島」は鬼ヶ島のオマージュだろうし、なんかカゴに入れられ捨てられていく様も、姥捨山を連想させます。
何より、愛犬スポッツの主人への忠誠心は、忠犬ハチ公を連想せずにはいられませんでした。
シリアスな展開の中に差し込まれるバトルシーンは「ジャイアンにボコボコにされるのび太たち」みたいにコミカルで、これまた「日本の新しい文化である漫画の様式美」と言えそうですね。
また、そういう「日本らしさ」のテンプレートばかりを盛ってったゆえの「そうじゃないよ感」がめっちゃいいんです!
日本人が「中国人」って言われると、つり目で「〜アルよ」って語尾につけるのを連想してしまう感じのヤツです。
『パシフィック・リム』で芦田愛菜ちゃんが逃げ回る日本の街の雰囲気に似てるなーって思いました。
そして、そんな全てがストップモーションアニメだってことが改めてすごい!
ってなる作品です。