タイトルがまた情緒的ですよね!
体の故障から選手生命を絶たれ、廃人のようになってた元ボクサーの主人公。とあるデッサン塾でヌードモデルのバイト中、そこの生徒に一目惚れしてしまい、そのコ目当てで予備校に通うことにする。というお話なのですが、この漫画で描かれる「美大受験対策予備校あるある」の数々!
美術系の大学を目指していない一般の人からするとちょっと異様な現象の数々が、元ボクサーという主人公の純粋無垢な目と感性でときにおかしく、ときにばかばかしく、ときに「これって真理だよな」といった具合で描かれていきます。
最も印象的なのは、「美術って描きたいように描けばいいんじゃないの?」という価値観に対しての、受験で合格する絵と合格しない絵が明確に線引きされてる問題。そして「金のためにやるものじゃないはずの美術」のノウハウを教えるための予備校の「経営」というお金を稼ぐためのカラクリな側面。
おもしれー。
いや、わかるんですよ。ある程度のお作法的な、デッサンってスポーツでいうところの筋トレとか素振りに似てますから、デッサン力っていう筋力をつけてることはすげー大事なのですが、たまに筋肉がないゆえに普通の人にはできない体の動かし方をする大天才が現れるもんだから「デッサンて必要なのか?」みたいな話も一方で出てくるんですよね。
「芸術とお金」の問題も「そーはいってもお腹が減ってちゃいい絵は描けないよね」てのはよくわかります。ぼく学生時代に一度「ご飯食べる時間も勿体無い」って絵を描いてたら、絵筆持つことすら怠くなったことがあって「食べるって大事だな」と骨身に沁みたことがあります。
ぼくも地方ではありますが、美術の大学を目指しデッサン教室に通い美術系大学に合格したという高校時代の思い出があるため、物語にグイグイと惹きこまれていきました。
オススメっす!