そういう印象を持った本を読みました。
写真が高級品だった時代、江ノ島みたいな観光地では写真屋さんがたくさんあったそうです。
主人公の繭さんは、江ノ島で100年の伝統を誇る西浦写真館の最後の館長だったばーちゃんの孫娘です。
肺がんで亡くなった、いつもタバコを吸ってた男前のばーちゃんの遺品整理に繭さんはやってきます。
本当は足を踏み入れたくない写真館。
おばーちゃん子だった繭さんは、昔はばーちゃんの手ほどきで写真をめっちゃとってたらしいのですが、とある事件でぱったり写真を撮るのをやめたそう。
どうやら、自分の写真のせいである人の人生を台無しにしちゃったらしいのです。
どんよりした気持ちで入った写真館で、未渡しになっている写真の束を見つけて、持ち主に返すことにした繭さん。
その過程で出会ったイケメンとか、江ノ島の人たちとか自分の過去のトラウマとか…。
壮大な物語ではないのですが、人一人の挫折と克服と、江ノ島の住人たちの生活と景色を追っていくので、なんだか自分も観光地に旅行に行って、目の前で偶然ちょっとしたドラマがおこっちゃったような気分で読めました。
やっぱ旅行はいいですな。
特に観光地で出会うその場でしか見られないレトロな景色とか、イイですよね〜。
そんなレトロな景色の代表として舞台になるのが写真館ってのもまたニクい。歴史のある地域に愛された観光地にある写真館の、デジタルではないアナログな一眼レフで撮られた写真にまつわる物語。
どっか行きたいなー。そんな気分にさせてくれました。