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【読書感想】『ゲームの王国』ゲーム好きが勘違いして読んだSFの革命的物語

すごい小説を読んでしまいました。

『ゲームの王国』というタイトルの物語です。

なるべくネタバレしないように感想を書こうと思いますが、うまくできるかな…?もう読む予定の方はここまでにしておいてください。

上巻と下巻で全く雰囲気が違う

ぼくはゲーム好きなので、タイトルが気になって読みはじめた本でした。

ゲームの王国 上

ゲームの王国 上

 

しかし冒頭の舞台が1970年代のカンボジアだったので、カンボジアの歴史の知識が必要だという事にすぐ気がつき、ネットの力を使って復習しました。

実はそんなに詳しく知らなくても物語に入っていけて、抑えといた方がいいのは以下の3点くらいです。

①第二次世界大戦後の東西冷戦の煽りを受けてた当時のカンボジアは、政治家と警察が腐敗しきっていて、悪い事をしてなくても政治家にとって都合の悪い人は何かしらの罪をでっち上げられて警察の特殊組織である「秘密警察」に逮捕され死刑になる社会だった。

②そんな社会をひっくり返すために「クメール・ルージュ」という革命軍が戦っていて、リーダーは「ポル・ポト」という人物だった。

③ポル・ポトは1975年に革命を果たすが、彼は「2度とこんなひどい政権を作ってはいけない。悪い事を企てられるような知識や文明を全て捨て、皆で原始時代のような農耕生活を送ろう」という極論に至り、とんでもない政策を始めた。

その結果、全国民は毎日奴隷のような農耕作業を強いられ、病気や怪我は医療ではなく呪術で治すよう言われ(つまり治らない、むしろ悪くなる)、知識を持つ人間は全て抹殺する(字が読める、メガネをかけている、手がキレイなど全てアウト)という有様だったので、ポル・ポトが実権を握っていた4年間でカンボジア人の3分の1が死んでしまったのだそうです。

これ、史実なんですね。改めて見ると怖いです。

しかも割と最近…。

で、この小説は激動のカンボジアを舞台に「運命に翻弄された少年少女2人の切ない物語」が展開されるお話でした。

上下巻で、2人が生まれてから死ぬまでの物語が綴られます。「出会う場所や時代が違えば…」と思わずにはいられない感じのやつです。

2人の主人公

1人目の主人公は「ソリヤ」という女の子です。彼女は「ポル・ポトの隠し子」と言われる、賢くて「人の嘘を見抜くことのできる能力」を持った美しい女の子です。

革命前の上巻前半では、ソリヤは革命軍にとっての「弱点」として描かれます。

ソリヤに関わった人たちに対する秘密警察の「処刑」や「拷問」のシーンが何度も登場し、大切な人たちを失いながらも懸命に生きるソリヤの話が続きます。結構鬱です。

もう1人の主人公は「ソック」という名の少年なのですが、本編の殆んどを「ムイタック」というあだ名で呼ばれる事になります。

「ムイタック」とは「水浴び」を意味する言葉で、彼は異常なまでの潔癖症で1日に何度も体を洗っていたことからそう呼ばれました。

ムイタックは「ロベーブレソン」という小さな農村の村長の次男として産まれますが、地方の農村では必要のないほどの天才的頭脳を持っていたせいで、理論や根拠に基づいた言動を繰り返す彼の話は村の誰にも理解してもらえず、父親に「お前には悪魔がついている」と言われて育つ幼少期を送ります。

悲しみを背負いながらひたすら身を隠して育ったソリヤと、「自分と同じレベルで誰とも話ができない」と冷めきった目で世の中を達観して育ったムイタックは、1975年にソリヤの恩人とムイタックの親戚が結婚することが決まり、両家の親族が集まる場所で対面します。

人生最高の思い出

そこで2人はカードゲームをして遊ぶのですが、互いに「初めての経験」をします。

ソリヤは「相手の嘘が見抜けない」、ムイタックは「全力を出しても勝てない」という経験です。

2人にとってこのゲームは今まで生きてきた中で最高の「楽しい時間」となります。

しかし「もう一回やろう!」と言ったところで、ポル・ポトの革命が起きそのまま2人は離れ離れになるのです。

その後、物語はポル・ポト政権の時代に突入します。

ソリヤはムイタックと楽しく遊んだゲームのような、正しくルールが機能する社会を実現するために、クメール・ルージュに潜り込み、上り詰めて内部から組織をひっくり返すことを目指します。

ムイタックはクメール・ルージュの敷いたルールを拡大解釈し、せめて自分の手の届く範囲の人たちだけでも人らしく生きられる村をこっそりとつくります。

そんな2人は、最悪のかたちで再開を果たすことになるんです。

…と、ここまで上巻のあらすじをさらっと述べただけで、ぼくの感想も全く書いていない状態なのですが、結構な字数になってきたので、次回後半のあらすじとともに続きを書こうと思います!

ゲームの王国 下

ゲームの王国 下

 

最初に述べた「すごい小説を読んでしまった」というぼくの気持ちが伝わったら幸いです!