【読書感想】『三体X 観想之宙』同人誌の到達点の1つだと思った

今日は小説『三体X 観想之宙』の感想を書こうと思います。

今回はあらすじも書いてないです。

三体X 観想之宙

日々ネットをフラフラと彷徨っていて、かつ本にも興味がある方はまず間違いなく見かけたことがあると思う「三体」というタイトルを冠したこの小説ですが、劉慈欣さんが書いた「三体」本編の続編やスピンオフではないんですね。

当時「三体」の熱烈なファンの1人だった宝樹さんという方が、三体完結直後にネット上に書いたアンソロジー的な外伝があまりに面白くて話題になり、出版社の目に留まり、劉慈欣さんの折り紙付きで書籍化され世界的な大ベストセラーになった、というなんとも夢のあるエピソードのある小説でした。

内容としては「三体」本編を読んでて感じる「あれはどうなった?」「ここでこの人はどうしてた?」みたいな、メインで語られる物語の裏で別の主要人物が何やってたかって部分を、本編の設定を活かしながら、理論的物理的に問題ないかもおそらくしっかり検証吟味して練り上げた(のだと思いました)物語を紡いでくれていて「なるほど!そーいうことか!」って思った直後に「あーそういえば劉慈欣さん著じゃなかった」と思い出し「こーいう世界線もあったかもしれないな!」と楽しませてくれる、そんなお話でした。

特にぼくは、ラストの締めかたが「そーきたか!」って楽しかったです。

この「三体」シリーズ本編ですが、ぼくも読書感想記事を書いていて、どれだったかははてなさんのトップで紹介されたかでちょっとだけバズって「面白さがわからん」とかいうコメントをもらったりしたんですね。

実は、本当のことを言うと、ぼくも「Ⅰ」は手放しで面白かったのですが、Ⅱ、Ⅲとシリーズを重ねていくにつれ「自分は面白さを味わいきれてないやもしれん…」と思ったりもしていました。

読まれた方は同意してくださるかと思うんですが、物語のスケールがデカすぎるんですよね。

ちょっとなかなか出会えるレベルじゃない広さの風呂敷をどわーっと広げられて、その風呂敷の模様を、ちゃんと1つ1つ理解してないと楽しめなくて、こちらの読解力と想像力が試されるような、そんな物語だなと感じながら読んでたってのが正直なところです。

言い方を変えれば「これを楽しめることができるかな?」って次々と投げられるボールを読者が一生懸命打ち返すってのが三体シリーズの楽しみの真骨頂とも言えるかもしれません。

なので、熱烈な人もいればそーでもない人もいるってのはとてもよくわかるなーって思います。

そしてこれは、アレに似てるなって思いました。

テレビ版の旧エヴァと、その後のAir/まごころを、君にです。

あの頃ぼくらも、あーでもない、こーでもないってオタク仲間と熱く議論を交わしましたよね。

そして同時に、ifの世界を描いた外伝というかオムニバスというか、そういったものがたくさん世に出回りましたよね。

そーやって散々考察しまくった頃「新劇場版が!?」ってのは記憶に新しいところですが、それはさておき、あの新劇場版が発表される前までのエヴァのファンたちのような、そんな熱気というか愛を『三体X 観想之宙』からぼくは感じました。