今年もあと半月ほどで前半終了ですが、2024年上半期りと的本屋大賞になりそうな小説のお話を今日はしたいと思います。
多崎礼さん著の『レーエンデ国物語』です。
以下ぼくの感じた魅力を書きたいと思いますが、事前情報入れずに読んだ方が絶対いいので、すでに読むつもりの方は以下は読まないでください。
『指輪物語』とか『ナルニア国物語』とかこの辺りが好きで、『ロードス島戦記』とか『アルスラーン戦記』みたいな王道の和製ファンタジーが好きな方はドツボではなかろうかと思います。
このお話の主役は、人ではなくレーエンデという国自体だなーと思います。
レーエンデは、西ディコンセ大陸を納める聖イジョルニ帝国領内にある国なんです。
この国では、満月の夜になると銀の鱗の魚が空中を飛び回り、その瘴気にあてられた者は身体が次第に銀の鱗に蝕まれていって死ぬ不治の病に侵されてしまいます。
そのこともあって帝国内では、呪われた国とされて禁断の地のように扱われているんですね。
しかし、その甲斐もあって隣国から土足で踏み入られることがなく、国内にいくつもの部族がいて、それぞれが独自の文化や風習を守って暮らす幻想的な、他のファンタジーものでいうところの妖精族みたいな人種の国として描かれるんです。
特にぼくは、個人的にはレーエンデ国内の「ウル族」はエルフ、「ティコ族」はドワーフみたいなイメージで読み進めています。
いま「います」と書いたのは、この物語は最初に書いた通りレーエンデという国自体が主役なので、巻を重ねながら100年単位で物語が紡がれて行きます。ぼくら世代だと、スーファミの「ロマンシングサガ2」みたいなイメージです。
第1巻の主人公であるユリアという少女は、レーエンデの隣国のシュライヴァ国の貴族のご令嬢で、いずれは政略結婚の駒となる自分の運命を嫌い、幻想的なレーエンデに魅了されます。
レーエンデで暮らす機会を得たユリアが、初めて友人を作り、恋をして、自分の人生を自分でつかむ決心をするのですが、そんなユリアの行動が、イジョルニ帝国に伝わる伝承に登場する、法皇が探し求めている「神の御子」という、イジョルニ帝国では福音、レーエンデでは破滅をもたらすと伝承に謳われた存在に関わっていくようになることから物語が怒涛の展開となっていくわけですが…大丈夫でしょうか?核心に触れないよう、それでいてぼくが感じた作品の良さを語ろうとしている結果、上滑りの空回りとなっているかもしれません。
ぼくはもーこのあたりから続きが気になって気になって、2巻にあたる『月と太陽』にもすぐ手を出し読み進めて「あー!」ってなって「続きどうなるの!?」って3巻の『喝采か沈黙か』にいって、かなり分厚い本なのですが、最近常に持ち歩いてどこにいようが隙間時間にぼくもレーエンデ国にトリップしております。
久々にスーパー幸せな読書体験をしております。
公式サイトで1巻の序章と1章が読めますのでご興味ある方、是非!