【読書感想】『キラキラ共和国』車に頼らない生活に憧れる

こんにちは、りとです。

ぼくは地方のとある街に住んでいます。

この街が嫌いではないのですが、それでも都会や観光資源に恵まれた街を見て「良いなぁー」って思うこともあります。

今日はそんなぼくの心のツボをビシビシ推してくる小説の感想と雑記を書こうと思います。

小川糸さんの『キラキラ共和国』と言う本です。 

キラキラ共和国

キラキラ共和国

 

 良い話すぎて泣けます

この物語は『ツバキ文具店』の続編です。こちらも感動の物語でした。

rito.gameha.com

ツバキ文具店を読んでない方も配慮したネタバレ具合でキラキラ共和国の感想を書いてみようと思います。

物語の主人公は「ポッポちゃん」とみんなに呼ばれる女性です。理由は本名が「鳩子」さんだからです。

彼女は鎌倉で文具店と手紙の代筆の仕事をしています。

この「ツバキ文具店」は先代のおばあさんの店です。

おばあさんは、ポッポちゃんに自分のことを「先代」と呼ばせ、字の稽古から日常の礼儀やマナーまでめちゃくちゃ厳しくしつけてきました。

ポッポちゃんは思春期の頃にストレスを爆発させ、家を飛び出します。

数年後、旅先でおばあさんの死を知ったポッポちゃんは、冷静になり鎌倉に帰り、ツバキ文具店を継ぐことにしました。

先代のいないツバキ文具店で、先代の残したものに少しずつ触れながら、ポッポちゃんは厳格な先代の心の内側に少しずつ気づいていくのでした…。

 

「今なら先代の気持ちがわかる…でも、先代はもういない…。」

 

と、いうのが『ツバキ文具店』なのですが、『キラキラ共和国』はこれまで先代に囚われて生きてきたポッポちゃんが、自分の人生を踏み出していくお話に思えました。

「先代のツバキ文具店」だった店を、「自分のキラキラ共和国」に作り変えていく、というか。

そんな幸せいっぱいのお話でした。

心が荒んだ時に読むと、浄化されること間違いなしです。

「鎌倉」という場所がズルい

この物語は、ポッポちゃんに代筆を依頼しにくるお客さんや、ご近所さんとの交流が話の肝となります。

人との交流を通して、ポッポちゃんは自分や過去と向き合います。

自分と向き合うには、時間がゆっくり流れる場所じゃないといけません。

なので現代を生きるポッポちゃんの日常を描いているのに、ファーストフードもコンビニも車も登場しません。

何より、鎌倉が舞台ということで「はんなり感」が半端ないのです。

これが、どうにも羨ましくて仕方ない!

地方は車がないと不便なんです

エコが「ケチなもの」から「カッコいいもの」に認識を変えてきた頃から「徒歩圏内で生活が完結するライフスタイルってオシャレ」って風潮が生まれたように思っています。

仕事も買い物もコミュニティも、家から徒歩圏内。まぁ使って自転車。そんな現代版長屋的生活。

さらにこの流れとリンクして、ぼくが住むような地方では「ロードサイド店舗」なんて呼び名で、幹線道沿いに全国チェーンの店が並んでいるような場所に対して「地方ってどこにいっても同じ景色だよねー」なんて揶揄する風潮が生まれたように思います。

もちろん、「その地域らしさ」を活かした街づくりをして、誇りを持ってその地域に住むことには賛成です。

しかし、ぼくら地方民が「テレビで見るようなオシャレな都会感」を味わうには、ロードサイド店舗に車で乗り付けるしかないのです。映画『下妻物語』でみんなジャスコに殺到するあの感じです。

そんな現実もあったりするので、『キラキラ共和国』のポッポちゃんを取り巻く鎌倉のコミュニティの豊かさは、本当に輝くばかりにキラキラして、憧れてしまうのでした。

本当に車に頼らない生活ができたら良いと思ってます

若干おどけた風に書きましたが、本当に地方では車がライフラインで「後期高齢者の運転する車はデンジャー、でも取り上げたら買い物も病院も行く術がなくなり本人がデンジャー。」という究極の選択を迫られるに至っています。

早く全国どこでもポッポちゃんのようなコミュニティを形成できるようになったら良いな、と思ったぼくでした。

 

…と書きつつ、車は車で好きなぼくなので、また車についての記事書くかもしれません。