ぼくの人生は世界を救うような物語の主人公じゃないけどそこそこドラマがある。

…って思ってるりとですこんにちは!

若干中二っぽい匂いも醸した冒頭の今日は、また小説の感想を書きますよ!

今回読んだ本はこちらです!冒頭のネタバレがありますよー。

伊坂幸太郎さんの「アイネクライネナハトムジーク

リサーチ会社に務める主人公の佐藤くんは、冒頭で街頭アンケートに立っています。

アンケートって頼まれる側からすると面倒ですよね…無下に断られ続けるうちに次第にくじけそうになっていく佐藤くん。

なぜ彼はこんなことをしているかというと、先輩のミスに巻き添えを食らったためなのです。その先輩は、職場で奥さんから「子どもをつれて出て行きます」という電話を受けて、我を忘れた一瞬の間に会社のPCをうっかり壊してしまいネットで集めた統計データが吹っ飛んでしまったのでした。

佐藤くんは頑張って何人かにアンケートに答えてもらいます。その中で1人の女性と、ちょっと世間話をするくらいに話が弾んだりして「そういえば最近恋愛してないな」「結婚するってどうなんだろう?」「奥さんが出ていくってどんな心境なんだろう」とかそんなことをぼんやり考えてる頭上には、大画面でボクシングの大会が映し出されていました。それは、日本人ボクサーがヘビー級チャンピョンに挑む世紀の一戦の中継でした。

そんなウィークデーを乗り切った休日、大学時代から交流が続く同級生の家に遊びに行った佐藤くん。彼は学生時代から飄々としてたくせにちゃっかり同じ大学で評判の美女とスルッと結婚し、子供にも恵まれています。

そんな彼から「何で話が弾んだその子の連絡先を聞いとかないんだ!?」と嗜められたりします。

…という始まり方をするのですが、実はずっと佐藤くんが主人公ではなく、奥さんに出て行かれた先輩の話、ボクサーの話、佐藤くんの友人の話、別の話で出てきた登場人物が主役になる話…と物語が転々としていく短編集になっています。

でも最後まで読むと、それまで登場した人物たちが緩やかに繋がってる複雑な相関図が頭の中に出来上がるという群像劇仕立てなのです!

みんな、自分の人生の主人公ですよね!

このお話を読んでいると「滅多に起こらないだろうけど起こるかもしれないな」「でも起きたら素敵だな」くらいの絶妙な加減の素敵なドラマがそれぞれの話に起こります。

転じて自分のこと振り返ってみると、毎日は慌ただしくバタバタすぎてってますが、年単位くらいで振り返ると、笑ったり怒ったり喜んだり悲しんだり色々あることが思い出されますよね。

「自分の人生も、全く何にもないことはないなー」なんて思わせてくれて「まぁ、これからの人生も、何かちょっとしたドラマくらいは起きるかもしれないから、生きてても良いかもね。」なんて思わせてくれるような、そんな気がしたお話でした。

ハラハラする展開はないので、心が疲れてる時なんかにすごくオススメです!(ただし相当に相関図がややこしいので、じっくり読む気概は必要かも!?)

今日もお付き合いありがとうございました!