こんにちは、りとです。
ぼくは絵が大好きです。
先日、ブログ友達の円野まど (id:ma-corpus)さんが非常に興味深い記事を書かれてたんですね。
ざっくりあらすじを僭越ながら説明させていただくと、まどさんが、良さがわからないけど絵に興味があるお友達と美術館に行くお話でして、記事の結びにまどさんはこんな宿題をぼくらに出されています。
「絵って何が面白いの?」と聞かれたら皆さんならどんなふうにお答えしますか?
ぼくはいろんなことを考えてしまいまして、まどさんとこのコメント欄に書かせて頂こうかと思ったのですが「めっちゃ長いしご迷惑かな」という気持ちと「あれ?もうこれだけで記事一本かけるじゃんウッシッシ」という邪心から、今日はこの問いにお応えする記事を書きたいな、と思います。
また、ブログされてる方は絵を描いたり見たりするのがめちゃくちゃ好きな方が多いと思いますので、いろんな方と想いの交換ができたらいいなぁ、と思います。
ところで「日本画」ってご存知ですか?
いきなり話の方向を変えてすみません!
でも、ぼくは美術館によく日本画作品を見に行くので、ぼくの考えをよりわかっていただくために、まず日本画のお話をさせてください。
下の図をご覧ください。
ぼくなりの解釈で、「伝統的な日本画」と「西洋画」の特徴をざっくり(本当にざっくりなのでご容赦ください)かいつまみながらリンゴを描き比べてみました。
比べると、日本画の方はなんか塗りが薄っぺらくて、画面の中に見るべき要素も少ないですよね。
ぼくは高校の頃、日本画作品を見て「こんなのオレでも描けるわ!」とか思ってました。
しかし、美術の大学に行って日本画の勉強をしたぼくは、まんまと日本画を専攻し、今でも趣味で描くほどはまってしまったんですね。
もう少し、上の図を参照しながら日本画の特徴を書きます。
・対象の捉え方
「リンゴを描こう」と考えたら、伝統的な日本画はリンゴだけを描きます。そしてこの「余白の何もないところ」こそ、わびさびであり粋であり宇宙なのです。対して西洋画は「リンゴがある空間」を切り取って描くんですね。なので、リンゴが乗っている皿も、皿が置かれている台も描きます。ありのままを描くんです。
・輪郭線
伝統的な日本画は、リンゴとリンゴ以外をきっちり分けるために輪郭線を引きます。対して西洋画は「輪郭線は人間が見えると感じてるだけで本来世の中には存在しないもの」なので消します。
・光
伝統的な日本画はリンゴとリンゴ以外を分けて「リンゴ」を描こうと考えるので光や光が当たることでできる影は「リンゴ」の表面に張り付いた「リンゴ以外」のものになります。なので描きません。
・遠近
遠近とは、人間が遠くのものほど小さく感じることを利用して絵にリアリティを出すために取り入れる手法であって「実際にはものの大きさは変わっていない」ので、伝統的な日本画には遠近はありません。
如何ですか?
こうやって見ると、図の左の絵が確固たる意志のもと、描くべきものと描く必要のないものを見極め、削ぎ落として削ぎ落として削ぎ落とした結果「薄っぺらで要素が少ない」よう見えるものになったのがわかりますよね。
こういった世界観を生み出す感性がDNAレベルに根付いているからこそ、日本はiPhoneの普及率が世界一なんだと思います。
ぼくのあまり立体感のないイラストが皆さんに好きだと言っていただけるのも、ぼくが日本画風の塗りをしていて、皆さんのDNAがそこに好感を抱いてくださるからです(多分)
あ、あとぼくはしきりに「伝統的な」とつけているのは、北斎の時代以降は西洋絵画の影響を受け始めて日本画も千差万別百花繚乱になるからです。
ぼくたちは絵の見方を教わらない
こんなクールでカッコいい日本画ですが、学校では習いません。
ぼくらが初めて触れる絵の具は日本画の「岩絵具」ではなくチューブに入った洋画の絵の具です。
これはなぜかというと、今の学校のベースが明治維新後に西洋の教育文化を取り入れて作られたもので、その時の最先端美術が印象派だったからだとぼくは思います。
そして、どうでしょう?
ここまで読んでくださった方は、俄然日本画に興味が湧きませんか?
こんな面白い話が、ジャンルや様式、時代背景や作家によってたくさんあるんです。
でも、突然こんな話を滔々と語り始めると、ウザがられますよね。
なので、もっとさらっとまどさんの宿題に答えたいところなのですが、もうすでにここまででかなり長文乱文になってきたので、まさかの次回へ続きます!
「…っおい!!」って思われた方もいらっしゃると思いますが、これが個人雑記ブログの良いところです。
あと、今日ぼくが披露した日本画論は、ぼくが10数年前に大学で知った知識なので「最新はこうですよ!」みたいなのがあったら是非教えてください。
では!!