前回、瀬戸内国際芸術祭2019の秋会期中に晴天に恵まれたため本島に突撃したお話を書きましたが、駆け足で午前中にぐるっと見て回ることができたので、そのまま隣の高見島にも行くことができました。
瀬戸内国際芸術祭は、島の屋内外に点在しているアート作品を求めてスタンプラリーのように移動を繰り返すイベントなので、1日を振り返ると「移動時間」が圧倒的に多くなります。
ところが高見島は地図で見ると、アート作品がわりと一箇所に集中しているんですね。
だが騙されてはいけない!
船を降りるとすぐ目に飛び込んでくる白い家!
中も真っ白でミニマリスト垂涎もの!?
と、船降りて早々の作品にテンションをあげて、地図を見て「次の作品もわりと近いし楽勝じゃ〜ん!」と思ったら大きな間違いです。
大部分の作品は小高い山の上に集まっているので、急な坂を登らなければならないです。
バリアフリー?なにそれ美味しいの?
ぼくは前々回の芸術祭の時に、ベビーカー持参でこの島に降りたち、死にかけました。
ただし作品は面白いし景色はめっちゃいいです
例えば、こんな感じの建物に入ると
土間の奥に白い部屋がチラリと見えて
ホワイトキューブなギャラリーがこんにちは!
こちらは、空き家の入口が別の惑星への扉だったようです。
蚊取り線香を使ったインスタレーション。
部屋じゅうに人のカタが残っている作品。
最初は「急いでてぶつかったのかな?」と思いましたが、家に残る残留思念みたいで、古くなった家の重みというか歴史を感じる作品でした。
こちらの家は壁に何か突き刺さってます。
中に入ってみました。
「敵に襲われて屋内に逃げ込んだら氷の魔法で攻撃された」的な?
かっこいいです。
ゴミで作られたオブジェ。
こういう作品を見ると、大量生産大量消費の闇を感じますよね。
いやー迷路みたいで面白かった!
高見島は、多くの作品が坂を登った先にある住宅地の中に点在しています。
登ったり下ったりする、ちょっと階段もある手すりも何もない細い道を行ったり来たりしながら作品を巡るので、子連れは細心の注意をしなければなりませんが、ファンタジーな山村にやってきたかのような気持ちにさせられます。
今回行った日は曇ってたので、ちょっとどんよりした写真しか撮れませんでしが、おかげで暑くなく疲れは半減で、だいたい子連れの足でも3時間あれば見てまわれる感じでした。
廃校
高見島に限ったことではないのですが、瀬戸内国際芸術祭を回っていると、廃校をリノベーションしてギャラリーにしている施設によく出くわします。
「リノベーション」って言ってもそんなにちゃんとはしてなくて、学校の施設をちょっといじって使ってるというか、そういうのも含めたアートの演出だとは思うんですね。
場所によっては、多分閉校になった年の児童生徒さんの絵だと思うんですが、作品がそのまま廊下に飾ってあったり、行事予定表が貼りっぱなしになってたりして「確かにかつてそこに子どもがいた」みたいな残滓とでも言えばいいでしょうか、そういった気配と、自分の子どもの頃の記憶が変にシンクロして心にグッとくるものがあります。
多かったら多かったでいろんな軋轢やいざこざがあって問題もあるとは思うんですが、人がいなくなるというのはやっぱ寂しいですね。
ぼくは大都市も好きですが、地方も好きで自分が住んでるあたりも好きだったりして、誰でもどこでも自由に住む場所を選べるようになればいいな〜と思います。
ネットとか、それこそ5Gの恩恵とかで、今後地方のよさが見直されたり、そんなことを夢見たり、一方で「地方を神聖視しすぎだお前は」なんてちょっと自己分析して見たり、ぼくの瀬戸内国際芸術祭の旅はもうちょっと続きます。