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【読書感想】『青春のジョーカー』それは確かに切り札だ…!

今日は奥田亜希子さん著の小説『青春のジョーカー』を読み終えた感想を書こうと思います。

青春のジョーカー (集英社文庫)

青春のジョーカー (集英社文庫)

 

 この小説、10代男子の傷を的確に抉ってきます。

「あーそれわかるー!」「身に覚えあるー!」「やめてくれー!」って感じで抉って抉って、しかしその痛みが快感になるドM体質の方にはたまらなく続きが気になるお話だと思いました。

あらすじ紹介程度のネタバレがありますのでお気をつけください。

主人公の島田基哉くんは中学3年生、クラスのどちらかと言えばイケてないスクールカーストの下層に属する男の子です。

基哉くんたちのグループは、日々イケてるやんちゃグループに怯えながら、なるべく気配を消して息を潜めてゲームの話に興じながら学校生活を送っています。

そんな基哉くんにも好きな子はいて、咲ちゃんという彼女もどちらかといえばイケてるグループの女の子だったので、遠目でチラチラと盗み見る毎日を送っていました。

あんまり顔も良くないし、性格もこんなだし、好きな子のことは盗み見るだけだし、自分なんて人間は一生このままなんだろう、生きててもきっと良いことなんてないだろう、そんな絶望に打ちひしがれていたある日、基哉くんは大学生のお兄さんにサークルのBBQイベントに誘われます。

この基哉くんのお兄さん、基哉くんと同じくずっとイケてないカーストの下層で中高を過ごし、一時期は引きこもりにまでなったんですが、今までの恨みを晴らすべく猛勉強し有名大学に合格してブランドを手にし、イケてるパリピサークルへ所属したのでした。

そこで基哉くんは二葉さんという女子大生のお姉さんと知り合います。

この二葉さんがちょっと変わった女の子で、彼女に学校での立場が逆転する、まさに「ジョーカー」といえる切り札を授かり、基哉くんは学校生活が一変するのでした。

基哉くんたちが気にするスクールカーストは「モテ」「非モテ」に集約されてランキングされてます。

そしてこの話は「付き合った」「付き合わない」、さらに「ヤった」「ヤらない」と性とか身体に関わるお話と数珠繋ぎになってます。

これ、大人になってみると「なんて狭い視線なんだ」って思いますが、中学生の頃なんてとても大きな要因っていうかそれが中学生(特に男子)の全てといっても過言ではないっていうかなんていうか、この小説で描かれるテーマはそこなんですね。

そして、基哉くんの両親は獣医さんなんです。

なので基哉くんは「生き物の生と死」について小さな頃から身近な場所で接してきてます。

ところが、自分が思春期を迎えて、人には動物と違ってドロドロとした「性欲」が「生」に絡んでくるコトについて悩むんですが、この構図がとても見事だなと思いました。

前半はスクールカースト下層の基哉くんの鬱々とした日々を読み進めるのが辛いのですが、ジョーカーを手にしてからの展開は続きが気になってハラハラしながら一気読みでした。

10代の身体の成長と性欲と、それらに追いつかない未成熟な心のお話。

修学旅行中の夜の男子部屋とか、あけすけに性に関する話をするシーンがバンバン出てくるので、そういう話が苦手な方はご注意ですが、10代を経験した全ての方にお勧めしたい小説です!

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