読んでたらちょうどドラマ化されてました。
今日は新川帆立さん著の小説『競争の番人』を読み終えた感想を書こうと思います。
あらすじ紹介程度のネタバレがありますのでお気をつけください。
主人公の「白熊楓」さんは、公正取引委員会の調査官です。
世の中に疎いぼくは、公正取引員会というと、ホリエモンさんのライブドア事件のことを思い出したりします。
颯爽と風を切りながら鞄を持って、不正の疑いがある会社に立ち入っていく姿が印象的なのですが、霞ヶ関では弱小部署なんですねぇ。
白熊さんは本当は警察官になりたかったのですが、「危ないことはしないでほしい」という母親の猛烈な反対を受けて今の仕事をしています。
自分が本当にやりたかった仕事でもない弱小組織で、それでもプライドを持って働いているのですが、内部告発で取り調べを担当していた人が物語の冒頭に自殺してしまいます。
娘さんに「パパはなんで死ななきゃいけなかったの!?」と激しく詰め寄られてた矢先に、4年付き合ってた彼氏となんとなく結婚することとなり、昭和なマッチョな価値観の彼氏の嫁としてこのまま…みたいなところに、東大を主席で卒業して、ハーバード大学に留学した後に帰ってきた「小勝負勉」という調査官とチームを組むことになります。
小勝負くんは、自分が優秀であることを隠さない、というかちょっと人間関係に難ありのイケメンです。
空手の達人という脳筋…もとい武闘派で情に脆い白熊さんが、絵に描いたような「天才」で毒舌スーパークールな小勝負君がタッグを組んで、同じ地域のホテルで談合し、結婚式の料金を釣り上げたり下請けに対して厳しい対応をしたりしている疑いのある、とある地方都市のウェディング業界の悪事を暴くために奔走します。
ってお話なんです。
帯で著者の新川さんが「エンタメの幕の内弁当、どうぞ召し上がれ!」と書かれているのですが「まさにその通り!」な内容でした。
最初が馬が合わないふたりですが、直情型の白熊さんがいろんな人に騙され、小勝負くんは確かに有能なのですが周囲の反感を買い、白熊さんを小勝負くんが助けて、小勝負くんのハートを白熊さんが温めていく。
ざっくりいうとそんな「お約束」な展開です。
でも、その展開が見たくてついつい続きを読んじゃいました。
また、二人のど定番な関係とは別に、敵となる相手はなかなかトリッキーで、そちらはミステリーとして面白かったです。
「市場の本当の敵は誰なのか?」みたいな、そんなテーマについてちょっと考えたくなるようなお話です。
「女は結婚して家庭に入ることが幸せ」という同調圧力を方々からかけられる白熊さんのプライベートもなかなか気になる展開でした。
「確かに幕の内だな!」というのが結論です!