富岡鉄斎は心のパイセン

今、京都国立近代博物館で「没後100年富岡鉄斎」という特別展が行われているんですよね。

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「最後の文人画家」と称される人なのですが「文人画家」ってのは元々は中国で、仕事にせずに教養として絵を描いてた人たちのことを称していて、それが日本に入ってきて、一時期は「中国風の絵を描く人」みたいな意味合いで使われてたものが次第に中国のように、一定の様式にとらわれず作者の感性の赴くままに自由にのびのびとした絵を描く人たち、みたいな感じで使われるようになったと理解しています。

また、文人画家の人たちは独自のネットワークを持っていて、割とみんな仲良かったようなイメージがしていて、それってつまり、今で言うところの、普段はサラリーマンをしてるけど余暇に趣味でお絵描きを楽しみ、ネットに公開してわちゃわちゃしてるぼくらと似てるよねー、なんて勝手な親しみを感じていたりします。

で、鉄斎さんの話に戻るのですが、彼は89歳で亡くなるまで日本中を旅しながら、人里離れた場所で本を読んだり絵を描いたりしていたという、なんかもう「ああいいな、そういうの」って思わず口からポロッと言の葉が溢れてしまうような生き方をされた方で、そう言う意味でも勝手に心のパイセンと思っております。

そんな鉄斎さんの特別展ですから当然行きたかったのですが、オーバーツーリズムで話題となっている京都に旅行に行く時間もお金も捻出できなかったわけなんですが、人里離れた場所で静かに本を読んだり絵を描いたりしていた鉄斎さんなら「わざわざこんな時にこんなところに来たりしなくていいよ」とか言ってくれるに違いないと思うことにしています。