LGBTの美術系男子が奮闘する小説を読んで元気をもらいました【読書感想】

りとですこんにちは!

今日は原田マハさんの小説「ロマンシエ」の感想を書きます!あらすじ説明程度のネタバレがありますのでお気をつけくださいねー。

ロマンシエ

ロマンシエ

 

見た目は「イケメンで政治家の息子」、脳内は「お花畑の乙女」な主人公

主人公の名前は遠明寺美智之輔(おんみょうじみちのすけ)と言います。 ルックスも家柄も最高な美大生な彼はもちろん女の子にもモテモテなのですが、実は恋愛対象は男な乙女くん。

美智之輔は大学の卒業制作で賞をとったことをきっかけにパリへの留学の切符を手に入れます。

憧れのパリでビッグなアーティストになることを夢見て日々を送る中、バイト先のカフェで片桐はいり似の日本人女性と知り合います。

彼女は、美智之輔が熱狂的なファンをやってる超人気ハードボイルド小説の作者でした!興奮する美智之輔、しかし彼女はキーパンチャー病を患い、「もう小説は書かない!」と宣言しパリの有名リトグラフ工房idemに匿われているというのです…!

日本で身動きの取れなかった美智之輔がパリで自由になる姿に元気をもらえます

人と話をするときは「すましたイケメン」を通す美智之輔ですが、脳内の、つまり一人称で彼から語られる物語はすべていわゆる「オネェ言葉」なのです。むちゃくちゃにハイテンションなんですね。

ミッツ・マングローブさんが「閉塞感があって暗い話題ばっかりの今の時代だから、自分たちみたいなのがメディアでもてはやされるんだ」といった趣旨のことを話されてたのをラジオで聞いたことがあります。

美智之輔は子どもの頃から、女の子と一緒にお人形遊びがしたかったし、可愛いものが好きだし、男子トイレに入るのも苦手です。なのに「政治家の息子」という肩書きと周囲の重圧に負けそうになりながら生きてるんです。

そういえば、日本は世界の「男女平等ランキング2017」で堂々の114位らしいです。

sustainablejapan.jp

そんな彼が「自由の象徴」ともいうべき「アート」を武器に「今の日本をつくった人たちとのしがらみ」を抜け出しパリで「本当の自分」になっていく物語の構成は「お見事!」と唸る勢いでした。

みんなもっと自由に生きていける社会になればいいのに…と心から思わされました。

「でもそうなったらアタシたちの仕事もなくなっちゃうわ!」ともミッツさんはラジオで言われてました。これもまた「お見事!」な返しですね!

物語の舞台となるIDEM

このリトグラフ工房は、歴史上のビッグアーティストから飛ぶ鳥も落とす今をときめく現代アーティストまでが作品を制作する実在する工房なんですね。

まぁ、サイト見にいってみてください。実際に行きたくなりますから!

idemparis.com

こんな場所で小説家のハルさんやスタッフのみんなと交流を深めていく中で「自分らしく生きる」ことができるようになっていく美智之輔…。

ああ…わかるな…。

普段「世の中とうまくチャンネルが合わないなー」って思ってても「これやってたら、今おれ地球上に存在してる!」って思えることって、ありますよね。ぼくはずっと「絵」に救われてる人生なので共感しっぱなしでライブハウスか!?てくらいヘドバンしながら読み進めました(脳内で)

 

素敵な物語です。オススメっす!