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【読書感想】『猿の見る夢』これはアラフォー男への警鐘ではないか…?

こんにちは、「後悔せず38歳を迎える」ことを今年の豊富にしているりとです。

今日は桐野夏生さん著の『猿の見る夢』を読んだので感想書きます。

途中までのあらすじを簡単に書いてますのでお気をつけ下さい。

猿の見る夢

猿の見る夢

 

急成長を続けるファストファッションメーカーに銀行から出向でやってきた役員さんが主人公

主人公の薄井さんは59歳。

アパレルの小売店に出向でやってくるも、現会長と二人三脚で会社を大きくし、大企業にまでした会社の重役さんです。

会長や現社長にも銀行時代の知識やノウハウでテキパキとアドバイスを下し、アパレル関係の社員らしくキリッとスーツを着こなすクールな切れ者っぽい登場の仕方をします。

が、その薄井さんのイメージは一瞬で崩壊します。

1日の業務を終え、帰ろうとしていたところを会長に呼び止められるも「今日はこの後用がありますので。」と颯爽と会社を後にして、薄井さんが直行したのは10年連れ添った愛人とのデートの待ち合わせでした。

最近愛人のみゆたん(薄井さんはそう呼ぶ)とはなんだかギスギスしています。ゆみたんは、薄井さんが毎月3万しか金を入れてくれないことも自分の家に泊まってくれないことも不満で、その不満が最近もうピークに来ているにも関わらず、体の関係がやめられないのです。

結局その日も喧嘩腰になり、家に帰ると妻の史代が初老の女性を家に招いています。

彼女の名前は長峰さん。

夢占いをする人だとかで、妻の史代さんが相談をお願いするために呼んだのだとか。

しかし長峰さんが夢を見るのはすぐではないらしく、数日家にいる事になります。

「一体、何の相談なんだよ…?」

翌朝、陰鬱な気分で会社に向かうと会長室に呼ばれます。「社長が清掃のパート従業員にセクハラしてる」という噂がネットに流れて炎上しそうだということで、薄井さんは火消しを頼まれるのでした…。

キリッとした仮面の下のグダグダのおじさん

薄井さんには夢があります。

今の会社で重役として65歳まで働いて、老後は長男夫婦と一緒に自分の母の実家の敷地内に二世帯住宅を立てて穏やかな老後を過ごすことです。

その一方で、ゆみたんとの関係は続けたいけど、会長秘書の30代の美人な朝川さんも気になるし、次男はニートで見ててイライラするし、実家の土地をアテにしてるくせに現在認知症が進みまくってる寝たきりの母の介護は妹夫婦に丸投げしています。

そんな薄井さんの日常に介入してくる謎の夢占いばーさん。

薄井さんはネットの炎上から会社を守るコトができるのか?

そして夢は叶うのか!?

明日は我が身が薄井さん?

ここまでのお話でお察しいただける通り、このお話は、読んでいると薄井さんへのイライラが募るお話です。なのに、登場人物たちの掛け合いがすごく軽妙で、するする読めてしまいます。

ゲームのジャンルで「テキストを読んでいってたまに分岐があって選ぶとその後の話が変わる」タイプのがありますよね。薄井さんは、ことごとく「そっち選んじゃダメでしょー!?」ってのを選ぶんです。

 そして「このどうしようもない薄井さんが最後にどうなってしまうのか?」が早く見たくてページをめくってしまうのです。読ませます。

しかし、薄井さんは薄井さんなりに「自分の幸せ」のために一生懸命奔走して打算計算してるんです。なので「因果応報!」って思いながらも、計算外の自体に心底悲しむ薄井さんがどこかかわいそうにも思えて来ます

その姿を見ていると、ふと「今、自分が良かれと思ってやってることの中に、実は単なる身勝手なものってないだろうか?」と考えてしまいました。

今「良かれ」と思ってやってる「無自覚な身勝手」が、ズルズルと蓄積していくと59歳になる頃にはぼくも薄井さんみたいになってるんじゃないか?

そんな警鐘を鳴らされているようで、我が身を振り返って「無自覚な身勝手」がないか点検するぼくでした。

ちなみに「不倫はしてないですよ」と、神に誓ってお断りして今日のお話を終わります。