アートが危ないけどどうしたらいいかわからない

中学時代、絵を描いてるぼくを見て「暇なんだね〜」って言った友人がいました。

馬鹿にするとか下に見るとか、そんなニュアンスでは全くなく、ナチュラルに「思わず絵を描くほど暇を持て余してるんだね」っていう、悪意のない言われ方でした。

なのでぼくも「ああ、アイツにとって絵を描く行為は、それくらい価値の低い、暇に比べたらまだマシくらいのレベルなんだな。」って思ったんです。

いま、コロナのせいでライブハウスや小劇場が瀕死らしいですね。

それに対し「本人たちが好きでやってることだから仕方ない」って声をネットなんかで見てしまって、なんか心がざわざわしてしまいます。

中学時代、ぼくに「暇だね」って言った彼くらい、その人にとって音楽や演劇が無価値なものなんだと思います。

これをきっかけに表現の道を諦める人も出てくるかもしれないですよね。

ていうか、いますよね。

そんな人の中に、将来ウチの子らが何かにくじけてしまって、ものすごーく落ち込んだ時にふとカラオケ行って喉が枯れるまで熱唱してスカッとして「よし!明日からまた頑張ろう!」ってなれる曲をつくるアーティストがいたかもしれません。

年老いて現実に疲れたぼくが、ふと入った映画館で「人生って素晴らしい!」って号泣するような映画作品の主演男優がいたかもしれないんですよね。

そう思うとすごく寂しい。

当然最優先にしないといけない人や場所はあるのですが「なのでこっちは切り捨てて良し」ってものでもないんじゃないかなぁ〜って思うんです。

京都でいま「ソールライター」っていう写真家の特別展をやってるんですよ。

かなり楽しみにしてたんですが、多分このままだと行かずに終わりそうです。

「こんな時期に県外の美術館行くなんて何事だ!」みたいな話になりそうですしね。

日本の美術館は、海外のアート作品を借りて特別展を開くために、たくさんの企業さんがスポンサーに付きます。

そして、芸能人なんかも起用して大々的に宣伝を打って、たくさんの人に来てもらって収益を上げて、そういうの人によっては「アートが金に塗れてる」って捉え方もできますが、お陰で世界中の作品に触れられるのでぼくはわりと肯定派なんです。

でも、今回の騒ぎでもう多分、いまやってる特別展の収益の回収はできないですよね。

ということは、次の作品を借りてくる余力もないだろうから…とか考えると、また寂しいなって思います。

とはいえ、財布に限りはあるわけなので、優先順位をつけなきゃいけないのは理屈でわかってるし、と同時に「ホントは使ってないヘソクリ予算があるんじゃないの?」と勘ぐりたくなったりして、なんか余計にもやもやです。

せっかく桜が満開なのに、こんなこと考えないといけないのって嫌だなぁ…って思うとさらにもやもやです。

今日は、あんまり楽しい話じゃなくてごめんなさい!