みなさん「呪い」ってあると思います?
…って、「何を唐突に…」と思われたかもしれませんね!
でも、今日これから話題にしようと思っている澤村伊智さん著の小説『予言の島』を読み終わると「呪いって…あるよ…。」って思っちゃうんですよ。
以下、あらすじ紹介程度のネタバレがありますのでお気をつけください。
舞台は瀬戸内海に浮かぶ「霧久井島」という曰く付きの島です。
かつて「宇津木霊子」さんという、一斉を風靡した霊能者がいました。
彼女は、オカルト番組の撮影のためこの島に訪れ、「怨霊に祟られている」と言います。
そして番組撮影中に体調を崩し、そのまま撮影は中止となります。
その後、宇津木霊子さんは病死するのですが、死の直前に、将来この島で6人が死ぬという予言を残すんです。
20数年後、物語の主人公である「雨宮純」さんは、職場のパワハラによって心を病んで休職した昔からの友人、「大原宗作」さんを元気付けるため、同じく友人の「岬春夫」さんと「予言の日」に霧久井島旅行を計画します。
子どもの頃、宇津木霊子さんファンだった3人は完全に肝試し感覚で、童心に戻って楽しめればいいな、という魂胆だったわけです。
しかし旅行当日、フェリー乗り場で知らない女性に「霧久井島に行ってはいけない」と言われたり、島についてからも予約していた旅館に「怨霊がくるから泊められない」と言われたりします。
なんとか見つけた民宿に泊まることになった一行でしたが、そこにはなにやら訳ありな宿泊客がいて…。
そうこうしているうちに、とつぜん大型台風も島に接近してきたり…。
そして予言通り、人が死ぬんです…!
さて、冒頭の話題である「呪いはある」説ですが、ごめんなさい。
実はちょっとカマかけた言い方でした。
誰かの何気なく発した言葉が心に染みついて、折に触れて思い出されたり、場合によっては何かを決めるときに影響与えてきたりすることってないですか?
それが、良い方へ導いてくれるものなら「真言」とか「座右の銘」とか言えるかもしれませんが、枷になるのならそれは「呪い」ですよね。
この小説読んでて思った「呪い」って、それなんです。
この呪いって、けっこうあちこちにありますよね。
何気なく放った親、先輩、上司、友人の言葉が突き刺さってずっと抜けないとか、気になるとか、「どうせおれなんて」って思わされたりとか。
そーいうやつです。
このお話は、そんな呪いが不幸を呼ぶんです。
そして物語中「最大の呪い」が最後に衝撃的な展開をもたらします。
この呪いは、人によってはこの小説を一気にシラけさせてしまうかもしれませんが、実は効果を発揮するのは、もう一度読んだ時なんですよ!
最初読んだ時「あれ?」って思う箇所が何箇所かあるんです。
これはどういうことだろう?と。
それが、最後のネタバレを知ってから読み返すと「そーいうことか!」ってなり恐怖を感じる、はじめはミステリだと思ってたこの物語が2度目はホラーになるんです。
最後まで目が離せない上に、2度目も新鮮に読ませるエンターテイメント!
『ぼぎわんが、来る』ですっかりファンになった著者さんでしたが、こんなアクロバティックな仕掛けで驚かせてくれるとは…!
これはすごい本だなって思いました。