専門家じゃない人

前回『流浪の月』という小説を読んで激しく感動し、「詳しく知らない人が分かったようなことをいう危うさ」みたいなことについて感想を書きました。 

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しかし、書きながら「ん?」と自分で自分に問いたくなったことがあって、でも前回はまとまりきらなくて、話も逸れるし触れずに終えた内容について今日は書こうと思います。

何かというと、前回のぼくの書いた話って、「詳しくない奴が口を出すな」という言説と表裏一体だなーって思ったんです。

最近だと「検察官の定年延長問題」のときに、ブワッと盛り上がった「ミュージシャンが知ったような口をきくな」とか、「音楽だけやってろ」とかいうタイプの話です。

ひどいのになってくると「女が政治に口を出すな」的なニュアンスのまであってびっくりしました。

ロックとかブルースって元々政治に対する批判が誕生の背景にあったような気もするけどなー?とかも思いますが、それはまあさておき。

この「政治に詳しいくない奴は口を出してはいけない」ってのは「口を出したければ政治家になれ」とか「詳しくないなら政治家のいうとこに黙って従うべし」と全部つながっちゃってて、つまり一般人は政治に口出しできなくなっちゃいますよね。

このロジックって、別に政治に限ったことではなくて、医療のことも育児のことも雇用のことも、ぼくらはこれらに関わってるけど専門家じゃないので、言いたいことがあっても何も言えなくなっちゃうってことです。

これじゃもう、絶対王政の社会です。

なので、詳しくない案件についても自由に発言ができる社会じゃないといけないと思うんです。

でも、前回の感想でも書いた通り、好き勝手なことを言ったり決めつけたりするのも非常に危うい。

じゃあ、どうしたら良いんだろう?って考えたら、2つくらいポイントがあるのかなー?って思ったんです。

1つ目は、たくさんのソースから情報を集めて、いろんな視点や論点に触れるってこと。

そして2つ目は、いろんな人の視点に立って、思いつく限りの結論を想像してみることです。

ただ、これって相当難しいんですよね。

「広い視点に立とう」と思った時点で「広い視点」という限られた視点になってしまいそうです。

そもそもぼくら忙しすぎるので、こんなことしてる余裕もなさそうです。

なのでぼくは、このブログで「この件についてぼくはこう思ったんですが、みなさんどう思います?」と、それこそお酒でも飲みながら緩く問を投げて、色んなお話を返してもらえるのがありがたいです。

なるほど、そういう考え方や視点があったかー!って気付けるのは本当に楽しい。

ただ、楽し過ぎてそれで「わかったつもり」になって自己完結してしまってもいけないな、なんてことを前回感想書きながら思ったりしました。

そーいえば、面白い話を今思い出したんですが、日本では報道バラエティとか「専門家です」とだけ紹介されて専門家が登場しますよね。あとは、所属してる機関と代表てきな著書が紹介される感じでしょうか。

それが、アメリカだったかな?では「この人はこの分野の研究でこんな実績を上げてますが、こういう団体から献金を貰ってます。過去にはこんな事件もありました。」とかまで説明されて専門家が登場するんだそうです。

「この人の言うことについてどう解釈するかは視聴者にお任せ」スタイルですよね。

面白いなーって思います。

なんて話を、こんなヘッダー画像を掲げてるブログで展開するのも我ながらおかしいなって思うんですが、それくらい色んなものに手を出しながら軽やかに生きていくのが憧れです。