【読書感想】『魚雷人間』一緒にわけのわからない世界に行きませんか?

今日も今日とて面白い本を読んだので紹介させていただきます。

まけもけ (id:make_usagi)さん著の小説『魚雷人間』です。

魚雷人間

魚雷人間

  • 作者:まけもけ
  • 発売日: 2020/10/24
  • メディア: Kindle版
 

ぼくがこのブログで読書感想を書く時は、あらすじ紹介程度のネタバレありでいつも書いてくのですが、この小説に関してはそれがとても難しいんです。

なぜかというと、わけがわからないからです。そして、それこそがこの本の魅力なんです!

文章を読んでて「わけがわからない」には2種類あると思うんですよ。

1つは、なんの話をしてるのかさっぱりわからなくてストレスがたまるわけのわからなさです。

そしてもう1つは、思ってもみなかったところに突然連れて行かれて「え!?」てびっくりさせてくれるようなわけのわからなさです。

これって、手品を見せられる感覚に近いなと思うんですよ。

頭の上に「?」がいっぱい浮かんでるのに、その状態が楽しい、みたいな。

「わけがわからない状態」って本来はストレスがかかる状態だと思うんですが、この「ある種のストレスがかかってる状態が心地いい」って状況、他にも色々ありますよね。

お化け屋敷

大迷路

ジェットコースター

激辛カレー

リーチなのにビンゴにならない

緊ば…ゲフンゲフン!

こちらではどうすることもできない圧倒的な力でもって振り回されてく感じ、不思議な不思議な物語にわけもわからず引きずり込まれていくような、そしてそれが楽しく面白い。

まけもけさんの巧みな表現力で、高速回転するメリーゴーランドに乗せられたような気がしながら、ぼくは『グローバライズ』という短編集を思い出しました。 

グローバライズ

グローバライズ

  • 作者:木下 古栗
  • 発売日: 2016/03/26
  • メディア: 単行本
 

 これも全くわけがわからない本なのです。

何度か読書感想を書こうと試みたのですが、わけのわからない部分を解説しようとしただけの内容になってしまい、それってつまり、手品のネタバレをするだけだなと思って記事にするのやめてた本なんです。

まったく、世の中には不思議で面白い体験をさせてくれる本があるもんです。

ところで

皆さんこの表紙の絵柄、どこかで見たことありません?

え?ない?

いや、ありますよね?

そーなんですよ。

じつは、まけもけさんからご依頼いただいて僭越ながら描かせてもらったんですよ!

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作画に当たって、じつは最初に冒頭部分を無理言って読ませていただきました。

「なんてシュールな小説なんだ…これは魚雷なんていう物騒なものとはかけ離れた美少女を描くことで、タイトルと表紙が全く結びつかない!?これは一体全体どんな内容なんだ!?と見た人が混乱するような絵にしよう。」と思いました。

そうやって描いたラフをお送りしたところ、たいへん喜んでくださって、ぼくも嬉しくなり一気に描きあげたのも良い思い出です。

その甲斐あったか、今見てもよく描けてるなぁーと思うイラストです。満足。

『魚雷人間』は10月30日まで無料キャンペーン中とのことです、ぜひご一読いただいて「表紙が全然内容にあってないじゃん!」と盛大にツッコミを入れてもらえれば、ぼくとしてはニンマリしながら今宵も眠りにつく事ができるというものです。

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