正月休みに『アルテ』を一気読みしました。
ルネサンス期のフィレンツェを舞台に、画家になりたい女の子「アルテ」が夢を叶えるために奮闘する漫画なんですね。
当時の時代背景から、はじめは女であるってだけで画家になるためのスタートにも立てないんですが、ひょんなきっかけから「レオ」という、子どもの頃物乞いだった画家の元に弟子入りすることになり、底抜けのポジティブ思考で道を切り開いていくサクセスストーリーで、ルネサンスのアートや文化が好きな人にはたまらん物語になっています。
と同時に、現代日本にも共通するところがあって色々考えさせられました。
ぼくは地方の美術系大学を卒業しているのですが、正確には覚えてないんですが男女比が6:4か7:3くらいで女の子の方が多かったです。
なのでぼくもいまでも交流のある学生時代の友人は女の子の方が圧倒的に多いんですよね。
(この件について高校時代の友人達にはさんざん羨ましがられますが、彼女たちはあくまで大事な友人で、そういうのはナイです。)
そんなこんなで、学生時代まではアート界ってなんとなく女の子がメインなんだと思っていました。
小中時代の「男はスポーツできてなんぼ」みたいなのを引き摺ってるのもあるかもしれませんね。
それが大人になって見渡してみると、どうやら女性の社会進出が先進国で最も遅れているらしいぼくらの国では、アーティストを含むアート関係者も御多分に洩れず女性が少ないんですよね。
この件について真っ向から問題提起をして、関係者の男女比を完全に半々にしたのが前回の愛知トリエンナーレでした。
「単純に半々にすればそれでいいのか?」という問題はさておき、一つの実験としてすごくステキな実戦だなと思ってたんですよ。
でも、愛トレは、例の少女像問題とか、写真炎上とかそっちばっかり取り上げられてしまいました。
これらだって、女性の社会進出の遅さというか、現代日本における女性の状況みたいなのを下敷きにして見たら、すごく興味深いと思うんですけどね。
「そんなことよりこっちの方が大事だろうが!」ってことでしょうか。
とか言ってるぼくも、大学時代の同級生や先輩後輩の何人かが、大学卒業後も作品制作を生活の主軸におきながらバイトとかで繋ぎ、そのまま結婚して専業主婦と作家の2足の草鞋を履いたりしてるのを見て、20代の頃はめっちゃ羨ましかったりしてました。
バブル崩壊後の、本当に就職することがしんどかった頃だったとはいえ、今思えば、ぼくの羨望もひとつの男女差別の形だったなと思い反省しております。
子どもが産まれてからも絵を描き続けてる友人はめっちゃ少ないです。
そう考えると、女性のアーティストを取り巻く状況はルネサンス期からそう変わってないかもしれません。
むしろ、大っぴらにならず陰に潜んだ分だけ余計に厄介になってるかも?ってくらいです。
ぼくの周りで現在精力的にに作家活動してる人をざっくりまとめると、子育てを終えた人、家事育児にほぼ関与しない人、結婚してるけど子どものいない人、結婚しないと決めた人、です。
そーいう意味では趣味に留めているぼくはお気楽である意味幸せかもしれません。
アルテは次第に画家として一人歩きを始めていきます。
一方で、レオに対する恋心を抱いていたりしていて、物語は今後どうなっていくのか。
未読の方にぜひおすすめしたい漫画っす。