嘘つき

今年上半期のぼくのベストバイといえば液タブです。

最近読者登録してくださった方のためにさらっとあらすじを書きますと、ぼくはかれこれ20年くらい板タブと連れ添って生きてきたんですが、3年くらい前に液タブに浮気してみました。

ところが思ったより相性が悪くて、すぐ関係を解消してしまったんです。

それが、昨年Apple Pencilと出会った事をきっかけにまた気持ちが盛り上がってしまってプロクリエイトというiPadアプリに手を出してみたところ、以前のような描きにくさを感じなく驚いて「それならいっそもう一度」と今年改めて液タブを買い直して今は首ったけ、というかつてのトレンディドラマのようなくっついたり別れたりの物語を紡いでいるんです。

こうしてもりもりお絵描きして楽しんでいると「きちんとイラストの練習してみようかな?」なんて気持ちまでむくむくと湧いてきました。

これは最近書いたお話ですが、ぼくは今までイラストの勉強ってのはしたことがなく、完全に見様見真似で描いてたんですが、ダイナミックなポーズとかアングルとか、そういうのって上手く描けないんですよね。

なんならアタリとかも取らずに突然服の皺とかかき入れてたんです。

そりゃかけませんよね。はい。

というわけでちょっと前に「イラスト勉強したことない」なんて記事を書いた頃から、イラストの描き方、みたいなページを読んだりとかし始めました。

で、あれこれ調べてすとんと腑に落ちたのが、イラストは絵より嘘をつかなきゃいけないってことです。

これまでぼくは、絵を描くとき、写実の世界を取材して画面内に世界をつくっていってたのですが、イラストはいわば、自分の頭の中にもう一つ世界があって、その世界を描くために写実の資料を利用するってイメージだな〜って思ったんです。

その世界っていうのは、自分が今まで影響を受けてきたたくさんの先達の世界観からちょっとずつエキスをいただいて組み合わせて練り上げていくってことなんだっていうか、そんなイメージです。

遅ればせながら「めっちゃ面白いな!」って思ったんです。

ジョジョ立ちはぼくらがやったらしんどいけど、荒木先生の頭の中の世界の住人にとっては自然体のポーズだってことだし、やけにボディラインが強調されてたりスカートが短すぎる美少女学園モノも、現実とか世界線が違うのでいちいち「ありえない!」なんてめくじら立てるほうがナンセンスだってことなんですね。

この話でいけば、デッサンやパースをどれくらいきっちりやるかだって、自分の世界を表現するためにどれくらい取り入れるかって味付けの分量の差だってことなのかもしれなくて、これを楽しめるかどうかってのは、作者の「こういう世界がありましてね」っていう嘘に付き合えるかどうかっていうイラストに対するリテラシーの問題であり、絵でいえば具象が好きか、抽象が好きかっていう好みの差なんだなーって思いました。

なので自分の世界を構築するために好きなイラストをしっかり観察したり模写したりするのは大事なことで「バクマン。」って漫画でシュージンがネタをネタを練ってる間、サイコーはドラゴンボールとかの模写をやってスキルを上げてるシーンがあったのですが、あれはそういうことだったのかと思った次第です。

何を今更当たり前のことを!って思われた方もいらっしゃることと思いますが、今年上半期ベスト大発見だったので綴らせていただきました。

そんなぼくの頭の中の世界はこんな感じになりつつあります。

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